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PayPal口座には100万円超の入金ができる!実務解説 資金決済法〔第3版〕より

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最近、Fintech関連の法律書について大いに関心があり、時間の許すかぎり目を通すようにしています。実務解説 資金決済法〔第3版〕もそのうちの一冊で、読んでいるとなかなか興味深いことが書かれています。

実務解説 資金決済法〔第3版〕の感想

この本で解説されている資金決済法は、2010年4月に施行された比較的最近にできた法律です。そのせいか民間事業者から何か問い合わせがあったときに、末端の行政職員でもマニュアル通りに対応すれば良い、というところまでは出来上がっていないという感じです。

行政の実務に基づく法律の解説というよりかは、司法の判例やまだ法律にすらなってない金融庁のワーキンググループの見解が多数紹介されていて、「実態と照らし合わせながら法整備をしています」という印象を受けました。

新しい金融サービスを開発する場合は、ただ技術だけを追っかければいいという訳ではなく、行政や司法の見解などの法律論も連動して熟知しておく必要があると強く感じます。

技術と法律論のシンクロ

と、ここままでは読書メーターで投稿した内容とほぼ同じ内容です。では上述したように技術と法律論がシンクロしている具体例をご紹介しましょう。その「材料」としてまず2つのものを用意します。

PayPal SandBoxでパーソナルアカウントの作成

PayPalのビジネスアカウントを使ってPayPalのデベロッパーサイトにログインしましょう。その後、PayPal SandBox(PayPalのシステム内で完結する環境)用のパーソナルアカウントを作成します。そのPayPal SandBoxのパーソナルアカウントの作成はこちらのページが参考になります。

SandBoxのアカウントで200万円の入金

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以前紹介したページではPayment Methodsの画面において10万円の入金をしていますが、今回は200万円を入金してみましょう(もちろんこれらのお金はPayPal SandBox内のみで通用する架空のお金です)。

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入金をしてPayPal SandBox用のSandBox専用ページから、PayPal SandBoxのウォレットの中身を確認します。するとPayPal口座に200万円に残高があること分かりました。これは法律論として素晴らしい技術です。

資金決済法とPayPal口座の関係

「100,000で入力していた数値を2,000,000にしただけじゃないか。それのどこがスゴイ技術なんだ?」とご指摘を受けそうです。ですが100万円を超える残高金額を設定できることこそが、法律論にのっとった素晴らしい技術です。

資金決済法によるPayPal口座残高の上限額はいくら?

資金決済法において、資金移動業者による送金は1回につき100万円以下(ただし手数料は除く)とされています。

察しの良い方はこんなことを思われるかもしれません。「送金は1回につき100万円しかできないのにPayPal口座に100万円を超える額が残っていても良いのか?」と。

この疑問については、実務解説 資金決済法〔第3版〕のP.15で以下のように解説されています。まず送金する側の立場としての見解です。

まず、事業者が口座(アカウント)を開設して、送金サービスを提供する場合、送金人が複数回の送金に備えて、当該口座に送金資金を入金しておくことが考えられるが、送金資金の入金は、送金指図を行う前の準備段階であるから、口座への入金額や口座残高について、上限規制がかかるものではないと考えられる。

次にお金を受領する側の立場としての見解です。同じくP.15から引用します。

また、受取人が口座を開設して送金資金を受領する場合、1回の送金に基づく送金資金の額は100万円に相当する額以下の額となると、複数回の送金を受けることも考えられる。受取人が口座で送金資金を受領することは、送金人からの送金指図がなされた後の受動的なものであるから、受取人の口座残高については、上限規制がかかるものではないと考えられる。

つまりPayPalの口座で残高を持つことができる金額は、現行のところ上限がないと考えることができます。

PayPalで為替機能を使えることの意義

PayPal口座に残高を100万円持つことは、かなりの額だと思います(個人的な金銭感覚ですが)。さらにその額を超えて余裕資金として200万円、300万円となると人によっては資産運用の対象となるかもしれません。

例えばECサイトで商品を販売し、ドル建てで資金を受け取ったしましょう。もし資金的に余裕があり、かつ円安ドル高が進むと踏めばその事業者は何を考えるでしょうか?そのままPayPal口座に残高として記録されている電子マネーの価値を、円ではなくドルで保蔵するかも可能性があります。

関税や消費税などの課税など条件付きにはなりますが、その米ドルで持ってネットショップで大量に生活必需品の買い物をして、日本に逆輸入すれば、ひょっとしたら円でモノを買うよりはお得に購入できるかもしれません。

以前、このブログでも記事を書きましたが、日本は石油資源に全く恵まれない国です。70年以上前にその資源がないために太平洋戦争まで引き起こしました。将来もし円安ドル高が進んだ場合、PayPalの為替サービスは石油製品をお得に購入するための「生活水準防衛手段」になるのではないでしょうか?

追記

この記事を書いたのは10月中旬ぐらいのことですが、昨日日経新聞で三菱東京UFJ銀行において銀行APIやAIとの絡みで約9,500人分の労働力が削減できるという衝撃的な記事を発見しました。

口座情報のデータが解放されただけで、「約3分の1の行員をどうするか?」ということが論じられていますが、資金移動業者がさらに力をつけると、銀行の人員削減の動きはさらに加速するかもしれません。

いよいよインターネット・Webの技術が「C(=Casual)の世界」から「S(Serial)」の世界に突入したことを実感します。そのうち「決済の民主化」が「為替の民主化」となり、「金融の民主化」にまで発展するかもしれません。