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【読書感想】戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓 (新潮選書)

1930s_japanese_diplomacy

タイトルだけを見ると、具体的にどんな話題のことを言及しているのか分かりにくいんですが、要するに昭和ヒトケタ代の日本外交に関する本です。高校の日本史の授業では教えてくれなかったので、大学受験は独学で乗り切った時代です。読了後、その独学がいかに粗かったか実感しました。

自由貿易推進派だった日本

後世から省みれば、日本政府が「大東亜共栄圏」なる誇大妄想的な構想を経て、最終的に太平洋戦争に至ったことは周知の事実です。ですはその経済圏を確立した理由は、必ずしも「無謀な軍部の独走」や「自尊自衛」という便利な言葉で終わらせていなかったのが印象的でした。

西欧諸国もブロック経済や保護貿易など「自国ファーストの共栄圏」を作っていて、天然資源に恵まれないために自由貿易を推進していたはずの日本も「共栄圏」を作らざるを得なかったという面が強調されているように感じです。

将来に向けて日本外交の教訓書

個人的には「大東亜共栄圏」や太平洋戦争を肯定するわけではありません。ただ今も昔も日本に現代の日常生活を支えるための資源が、自国の領土内で獲れないことは全く同じだ。本書はそこんところを踏まえて、「外交を上手く立ち回らなあかん」という教訓書だと思います。

自由貿易は戦争を引き起こさないための必須の条件です。ただ外交サービスは政府ができる数少ないサービスの一つで、門外漢が取り扱うのは大変難しい分野です。

シロウトがこれ以上何か語ることはできません。悪しからずご了承ください。また機会があれば戦前の日本外交に関する本にチャレンジしてみたいと思います。