NHK特選時代劇として再放送されている「お登勢」に登場する津田貢(葛山信吾さん)は、武士の身分を捨て、お登勢(沢口靖子さん)と結婚することを決意します。やがて開拓百姓になるため北海道へ渡り、お登勢と暮らすようになります。
津田貢は武士を辞めて北海道の開拓移民に
津田貢はすでに元治元年に京都で発生した池田屋騒動で、共に勤王討幕の旗を掲げて活動していた長州藩の吉田稔麿やその仲間たちを救えなかったことから、すでに武士であることに嫌気がさしていました。
また志津(森口瑤子さん)からの強い要望を受けて一旦は結婚したものの、長続きはせず2人の仲は疎遠になります。明治維新のときには津田貢が使える洲本藩は、家臣団が丸ごと北海道の静内・新冠で開拓民になることを強いられますが、津田貢は迷わず武士の身分を捨て、開拓移民になることを決意します。
このときお登勢と再婚します。ここら辺までは小説「お登勢」と時代劇ドラマ「お登勢」とお話がかぶるでしょう。
北海道の厳しさについていけず不倫に走る津田貢
ただし津田貢とお登勢の結婚話には、「続き」があります。ドラマでは描かれないかもしれませんが、小説「お登勢」の後半において、実は津田貢は少々飽きっぽい性格があり、目の前に困難が生じるとそこから逃げたくなる癖があることが描写されています。
19世紀の北海道といえば、そのほとんどが人を寄せ付けない厳しい自然に覆われていました。当時の静内・新冠でその日1日分の暮らしを立てることは想像を絶する厳しさがありました。
残念ながら貢はその厳しさについて行くことができず、一度は離縁してすでに佐伯織部の妻になっていた志津と不倫関係に陥ります。しかもその関係を知った佐伯織部の部下に惨殺されるという事件に巻き込まれて死にます。
お登勢は津田貢の性格を知っていた
ちなみに貢とともに北海道に渡ってお登勢は、貢がすぐにへこたれやすい性格であること、志津と不倫をしていることを全て知った上で、開拓移民として北海道の野生馬を飼い慣らす牧場の経営に乗り出そうとしていました。