宙わたる教室 藤竹叶(ふじたけかなえ) 窪田正孝
東新宿高校に赴任した理科教師(34才)。人手が足りないため数学科の教師も兼ねている。27才で博士号を取得。発表した科学の研究論文は世界的な学術誌に掲載され、研究者としての将来を有望視されていた。
しかし助教として赴任した地方の国立大学で参加した研究で、一番研究に貢献した高専生を論文の共著者から除くという事態に憤りを感じ、助教としての任期を2年残して退職し渡米する。
2年契約のポスドク研究員としてアリゾナ大学附属月惑星研究所で、社会的に恵まれないナバホ族の18歳の若者が研究に参加している姿を見て、日本でも同じことをやろうとして定時制高校の理科教師になることを決意する。
宙わたる教室 柳田岳人(やなぎだたけと) 小林虎之介
東新宿高校定時制の2年生。読み書きが苦手なことを馬鹿にされ、中学から不登校になり、不良の道へ。負のスパイラルから抜け出すため20歳で定時制高校に通い始める。あることをきっかけに退学を考え始めていた時、新しく担任になった藤竹と出会う。
藤竹は岳人が文章を読み書きすることは苦手でも、数式や記号を読み取ることは得意であることを見抜き、ディスクレシア用のフォントで字を読んでみることをすすめる。そこから岳人の知的好奇心が拓けていく。
宙わたる教室 名取佳純(なとりかすみ) 伊東蒼
東新宿高校定時制の1年生。起立性調節障害で朝に活動できないことから夜間定時制高校に通い始めた。しかし定時制でも保健室登校を続けざるを得なくなっていた。
ある日、保健室に備え付けられている「来室ノート」を見ると、藤竹叶から「星を継ぐもの」や「火星の人」を読んだという書き込みがあり、「火星に興味があるのなら物理準備室に来ないか」と科学部入部の勧誘を受ける。
宙わたる教室 越川アンジェラ(こしかわアンジェラ) ガウ
日本とフィリピンのミックス。夫と二人で新大久保にあるフィリピン料理店「ジャスミン」を切り盛りしている東新宿高校の定時制2年生。以前から高校で勉強をしたいと考えており、夫と娘と店のアンジェラがいなくても成立する経営方式を採用した上で、東新宿高校定時制に入学した。
しかし2年生になると、国語や社会もさることながら、数学と理科にまったくついていけなくなる。実はアンジェラは中学どころか、小学校の半分もまともに通っていなかった。
宙わたる教室 木内泉水(きうちいずみ) 田中哲司
東新宿高校定時制のベテラン英語教師。アロハシャツに扇子を持つ姿からふざけていると思われがちだが、生徒たちに伝えたい信念を持っている。
藤竹叶が職員会議で東新宿高校定時制に科学部を作りたいと言ったとき、他の大勢の教師たちが反対する中、唯一木内だけが賛成してくれた。
宙わたる教室 佐久間理央(さくまりお) 木村文乃
東新宿高校定時制の養護教諭。かつて救命救急の現場で看護師をしていたがハードな救命現場に関わるうちに体調を壊してしまう。
30歳のときに養護教諭の資格をとって、ある定時制高校に赴任するが自分が関わったある女子生徒が自ら命を絶つという事件に関わってしまうという過去をもつ。
宙わたる教室 相澤努(あいざわつとむ) 中村蒼
JAXA宇宙科学研究所で太陽系化学科学研究系の准教授で、惑星物質科学を専門としている。藤竹叶とは東都大学時代の同期で、大学院では博士課程を卒業するまでの5年間、同じ院生部屋で机を並べて共に研究に励んだ間柄。
相澤は研究者になった同期の中で一番最初に准教授となったせいか、定時制高校の理科教師となった藤竹の行動を「キャリアの無駄遣い」のように見ている。
宙わたる教室 長嶺省造(ながみねしょうぞう) イッセー尾形
東新宿高校定時制の2年生。若い時に通えなかった高校で学び直すために定時制に入った76歳。かつて営んでいた町工場の技術に目をつけた藤竹から科学部に誘われるが、一旦は断る。
長嶺が定時制高校で勉強を始めた本当の理由は、じん肺で大学病院に入院している、妻・江美子に高校の授業内容を聞かせてやりたかったため、部活をしている時間的余裕がなかった。
宙わたる教室 庄司麻衣(しょうじまい) 紺野彩夏
岳人と同じ東新宿高校定時制に通う2年生。学校に通う一方、キャバクラで働いて生計を立てている。普段は教室からキャバクラの客に営業メールをしている。
宙わたる教室 三浦孔太(みうらこうた) 仲野温
かつて東新宿高校定時制に通う生徒であったが、入学してから半年ともたず退学する。岳人に麻薬の売買を誘う不良仲間。岳人が次第に真面目に高校生活を送るようになったことを面白くないと思っている。
宙わたる教室 朴大成(ぱくたいせい) 阿佐辰美
岳人と三浦の不良仲間。三浦とつるんで行動していることが多いが、三浦とは違って、定時制に通う岳人を応援している。