ホーナー（ブレイク・クロフォード）とはモーラー GHQ民間防諜局公安課 に所属
虎に翼に登場するGHQのアルバート・ホーナー（ブレイク・クロフォード）とは、戦後の日本でGHQ民間防諜局公安課に所属したモーラーがモデルであると考えられます。
「家庭裁判所物語」には1949（昭和29）年に設立された家庭裁判所に日本政府からの要求通り満額の1億1千万円の予算をつけることを認めたGHQ公安課の軍人でモーラーという人物が登場します。
GHQ公安課・モーラーと家庭裁判所設立の関係
当時、日本政府はGHQから1949（昭和29）年1月1日付をもって、日本全国に家庭裁判所を設立するよう迫られており、少年法改正を指導していた公安課のモーラーが家庭裁判所設立のための予算確保を最高裁判所事務局に厳命していました。
このモーラーは当初、予算確保は日本政府の仕事であるという態度でしたが、結局は最高裁に必要最低限な予算を提出するよう求め、それを満額認めるという考えに改めることになりました。
もっとも「必要最低限な予算」と言っても家庭裁判所の設立に携わっていた市川四郎は「どうせ予算要求だから」とと言ってあれもこれも予算化したものが全て満額認められたという意外な結果になっています。
当時の吉田茂総理大臣は衆議院を解散するかどうかの瀬戸際に追い込まれており、家庭裁判所の予算をどうするかなど考える余裕はなかったと思われますが、そんな状態でも満額の予算を通してしまうとは当時のGHQの権力がいかに強大であったかをうかがわせるエピソードでもあります。
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GHQ民間防諜局公安課とは
なお家庭裁判所物語では、モーラーの所属は「GHQ公安課」としか書かれていませんが、正式には「GHQ民間防諜局公安課」と考えられます（国立国会図書館HPより）。
GHQ民間防諜局とは、日本の治安機関に関する施策について、最高司令官に助言すること及び日本政府への指令が指示通りに遵守されているかを調査する部署です。その中でも公安課は日本の治安機関（警察、消防、海上保安、矯正施設）を管理・監督するとされていました。
「モーラー」から「ホーナー」
「ホーナー」と「モーラー」でなんとなく語感が似ていることもあり、「家庭裁判所物語」で紹介されている実在したモーラーが虎に翼のホーナーという人物のモデルになっているのではないかと考えられます。
虎に翼のホーナーとはGHQのガバメント・セクションに所属する軍人
虎に翼のアルバート・ホーナーはアメリカの軍人で、「殿様判事」の久藤頼安（沢村一樹さん）が裁判所を視察するためにアメリカに行ったときからの知り合いであるという設定です。そのこともあってホーナーは、久藤頼安のことを、「Ryan（ライアン）」と呼びます。
久藤頼安が佐田寅子に紹介した内容によると、ホーナーはGHQのガバメントセクションに勤務しており、日本の民法改正に携わっているとのことです。
一見するとアメリカかぶれの久藤頼安とホーナーは仲が良さそうに見えますが、改正する民法の内容について久藤頼安とホーナーには意見の相違があります。例えば民法の規定にある「夫婦は共に夫の氏（うじ）を称す」です。
夫婦は共に夫の氏（うじ）を称す
- ホーナーの意見…女性が結婚する時点で夫の名字を名乗ることが前提になっている時点で、「女性解放」の趣旨に反する
- 久藤頼安の意見…夫と死別し婚姻関係が無くなった妻は全て夫の名字が名乗れなくなる。夫の名字に愛着がある人はどうする？
寅子に子どもの数だけ板チョコをあげる
「虎に翼」に登場するホーナーのモデルが強面なエピソードがあったり、久藤頼安と必ずしも意見が一致しなかったりと一筋縄では行かない軍人に見えますが、寅子に接するときはあくまでも優しいのがホーナーの特徴です。
久藤頼安の部下に女性弁護士である佐田寅子が入ったことに大いに興味をもってくれましたし、寅子の家族には子どもがたくさんいることを聞いて、子どもの人数分だけ板チョコを自宅にまでもって来てくれたのも、ホーナーでした。
最後にはこう言って、寅子をはじめとした家庭裁判所設立準備室のメンバーたちを励ましています。
ライアン！みんな！法律は民法だけではないんだよ！まだまだ働かなければ！
Ryan! Everyone, listen! The law isn’t a civil code! We still have a lot of work to do!
