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【読書感想】生涯投資家

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先日、当ブログで、抗命 インパール2という本の読書感想の記事を書きました。旧・日本陸軍で筋を通す高級軍人は、中央の戦争指導部から体良く左遷されるお話です。

おそらく村上さんが日中戦争か太平洋戦争中に軍人をやっていたら、師団の高級参謀として南太平洋の最前線にでもとばされて、戦死していたかもしれません(実際に村上さんは通商産業省のキャリア公務員を16年もお勤めだったので、兵站・補給担当の主計士官に出向させられていたかもしれない…)。

戦争末期の旧・日本陸海軍

ちょっとミリオタっぽい話になってしまいました。何が言いたいかというと「村上さんはスジを通す人」だということです。日本の旧・陸海軍は「組織 of 組織」、「組織の王様」であり、綱紀粛正な組織というイメージがあるかもしれません。ですがその上層部は徹底的に腐敗・堕落していたことが通説になりつつあります(以下の書籍を参考としました)

先日、放送されたNHKスペシャル「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」でも言及されていましたが、闇市に供給されていた物資の一部は、陸海軍の高級将校が隠匿物資を横流していたものだそうです。軍の隠匿物資を闇市に流すことはもちろん犯罪です。もし村上さんが生き残りの主計士官であったら、社会的ステータスの高かった人たちの行為はどう映ったのか大いに興味をそそられます。

村上さんの組織論

この本の中では村上さん流の組織論に関する記述はありません。以下は自分の想像です。村上さんの考え方から行けば、およそ組織とはそれぞれの役割があり、任された人はその役割を全うするという意味では、下っ端もリーダーも等しいとお考えだと思います。

ひるがえって現代日本の上場企業で言うと、その大部分の下層構成員は組織の体をなしてるが、上層の構成員に行くほどタガが緩んでいるとおっしゃるのではないでしょうか?

それが時価総額は高いのに、株価が低い会社(いわゆる「資産効率の悪い会社」)の株式を買収するという投資家の仕事に繋がっているように思いました。社会の公器たる上場会社で、限られた資源の無駄遣いを見過ごすことはできないのでしょう。

世の中のすみずみにまで投資教育を

初学者用のミクロ経済学や証券アナリストになるためのテキストを読めば分かることですが、村上さんは教科書的に当たり前なことをしているだけです。ただ「日本のエラい人たち」からすれば、それが気にくわないのでしょう。

なにしろ株価を上げるためには、あらゆる努力(遊休資産の活用、新たな研究開発、設備投資、人材の登用、雇用の確保など)をしなければなりませんので。だからマスコミも巻き込んで、一大バッシングに繋がると。

村上さんは、この本を出版して得た収益を投資教育を普及させるための資金に使いたいとおっしゃっています。ぜひ投資教育が世の中のすみずみにまで行き渡って、当たり前のことが当たり前に言える世の中になってほしいものです。