タイトルを見るとテック本のように見えますが、中を見ると完全にビジネス本です。今をときめく起業家さんの名前とかトヨタ自動車、三菱UFJ東京銀行、イケイケ官庁の金融庁など、分かりやすい固有名詞がずらりと並んでいます。読者層として学生さんや20代前半の若手ビジネスパーソンをターゲットにしているのでしょうか。
参照系APIと更新系API
最近、Fintech関係の法律本を読むことが多くなりました。それと関係があるかなーと思い、銀行APIのところを注意深く読みました。そのときの感想を述べます(他のところは全く読んでません)。
2017年5月に成立した改正銀行法では、APIを公開する努力義務を金融機関に課したそうです。で、その銀行APIは「参照系API」と「更新系API」に大別されるそうです。はじめこれらのキーワードを見たとき、いまいちピンときませんでした。
5秒ぐらい考えたのちに「PHPで言うところGETとPOSTのことかぁ〜。そう書いてくれ方が分かりやすいのに。まぁテックではなく、ビジネスよりの本やからしゃーないか」と斜めから目線の感想が。
銀行APIとは?
銀行APIと言っても技術そのものは、目新しいものではありません。Twitter REST APIの公式ドキュメントを見ると、GET(参照系API)とPOST(更新系API)がたくさん出てきます。
Twitter REST APIの場合は、PHPなどのプログミングでツイートやその付随する情報(ユーザー名や日付)を読み出したり、またはタイムライン上にツイートを書き込む(投稿する)ことができます。銀行APIの場合は、Twitterのツイートではなく銀行が持つ口座情報の読み書きができるようになっただけのことです。
参照系API(GET)
銀行が保有する情報を紹介する目的で使うもので、口座残高や入出金明細と言ったデータを取得することができます。
更新系API(POST)
振替や振込など主に口座間での資金移動を指示、実行する仕組みのことをさします。つまり異なる2つの口座間で残高の加減ができます。
銀行APIの持つ意味
「銀行API」というキーワードを聞くとなんか凄そう!という感じがします。ただ聞くところによると、ヨーロッパではすでに無店舗かつ業務を全てAPIで完結させている銀行もあるそうです(残念ながらそういった踏み込んだ話はこの本では書かれていません)。
世界的な現状を見ると日本の銀行の「周回遅れ」感は否めません。ですが「紙の呪い」から解き放とうしている、邦銀と金融庁の取り組みは金融史において画期的なことではないでしょうか?
銀行が「周回遅れ」になる根本原因
ちなみに銀行が「周回遅れ」になる根本原因は技術力が劣っているからではなく、硬直している労働市場に起因すると考えています。銀行が紙(と紙幣)を扱うことをやめてしまったら、銀行事務員が大量に失業することになるでしょう。
その失業対策を政府ではなく、今まですべて福祉的な雇用を民間企業に押し付けたツケが周り回って、「イケてない技術の国・ニッポン」が出来上がってしまっていると思います。
技術的に考えればオンライン無店舗バンクは日本でもやればできるでしょう。ですが雇用問題が絡んでいるために、コトは容易に進まないだろうなと個人的に踏んでいます。
【参考サイト】