錠島尚也(長嶋一茂)の本名は小池正幸
朝ドラ「オードリー」に登場する小池正子(こいけまさこ)(島村晶子さん)という女性は、錠島尚也(長嶋一茂さん)の産みの母親です。赤ん坊のときに孤児院に引き取られ育てられ、「古井潔」という戸籍名を与えられていた錠島尚也には実は「小池正幸(こいけまさゆき)」という名前がありました。「正幸」の「正」の字はまさしく「正子」の「正」から取られたものです。
「魔境の剣士・ムサシ」放送直前に失踪する錠島尚也
大京映画の専属俳優として「未来刑事ダイナー」・「未来刑事ダイナー2」という子ども向け特撮番組の主演として出演していた錠島尚也の人気が子どもたちの間で徐々にが広まり、「ダイナー2」の次の番組である「魔境の剣士・ムサシ」の出演も決まっているときに、錠島尚也は突然失踪します。
このころ錠島は「子ども向け番組で受けて何になる。いつまでもジャリ相手の俳優をやってられない」と悪態をついている姿を見かけられます。錠島は自分が出演する番組に不貞腐れていつものように姿を消したかのように周囲には思われましたが、いつもとは違うことを大京映画の制作スタッフとして働く佐々木美月(岡本綾さん)は勘付きます。美月は錠島から「椿屋」にかかってきた電話から察して、錠島は神戸にいることを知りなぜ失踪したのか問い質します。
錠島尚也の母親と名乗る女性からの手紙
すると錠島は「錠島の母親」と名乗る人物から受け取ったという一通の手紙を取り出し、美月に渡します。その手紙には神戸市内の消印が押されて、こんなことが書かれています。
- 自分は昭和22年11月10日に横浜市日ノ出町の古井戸のそばでで赤ん坊(錠島尚也)を出産しました
- 当時、戦争で家族を失いビアホールの女給をしており行きずりの客と関係を持ってしまった
- 出産した途端、ビアホールを解雇され収入が絶たれてしまった
- 自分も乳飲み子も痩せ衰えていくときにパトロールをしているお巡りさんを見かける
- とっさに赤ん坊を捨てることを決めて、赤ん坊がお巡りさんに引き取られることを確認。このとき生後45日目
- 自分は「鬼」のような女であるが、捨てた赤ん坊をかたときたりとも忘れたことはない。
- その18歳になったとき赤ん坊が大京映画のニューフェースに選ばれたことを知り、横浜から関西に流れてきた
- 錠島尚也が出演したドラマ、「惨殺浪人・夢死郎」・「未来刑事ダイナー」は1回も欠かさず見た
- だが「未来刑事ダイナー2」が終わる頃には自分の命は尽きる。本当にすまなかった
- あなたの本名は自分の一字を使った「小池正幸」である
小池正子の死。錠島尚也の取った行動は?
手紙には「自分は錠島尚也の母である」という旨のことが書かれていますが、それ以外に「小池正子」と名乗る女性が、錠島尚也つまり「小池正幸」の母であることを証明するものは何もありません。それでも美月は小池正子が錠島尚也の母親であると確信します。なぜなら手紙から辿っていって小池正子が入院している病院を知り、その正子のベッドの側にはダイナーの写真立てが飾られていたからです。
後日、正子が入院する病院から「椿屋」に電話がかかってきます。正子が危篤でもう長くはなさそうだということです。正子には他に身寄りがなく、美月が面会に訪ねていったときに置いていった「椿屋」の連絡先が使われました。
死に際の正子に会いに行こうとする美月と渋る錠島。結局、2人で正子の病室を訪れ、酸素吸入器を取り付けられた正子の手には「未来刑事ダイナー」の写真立てが握られています。34年ぶりの親子の対面で、錠島はポケットから正子の手紙を取り出し、亡くなる寸前の正子の目の前で引き裂いていきます。親に捨てられて孤独に育った錠島はこのような形でしか愛情を表現できないのです。