2019年5月21日(火)にPayPalの東京オフィスにて、「ペイパルのテクノロジー戦略」ラウンドテーブルが開催されましたので、大阪府内の自宅からリモートで参加しました。
スピーカーはPayPalのゼネラルマネージャーでテクノロジー&エンジニアリング責任者のGuru Bhatさんです。内容はPayPalのセキュリティやクラウド、AIなどこれからのテクノロジー戦略です。
決済をさらに当たり前にするPayPal
セミナーに先立って2019年2月に出版された予測マシンの世紀: AIが駆動する新たな経済では、AIの進化に伴い「予測」の費用が大幅に下がり、「予測」は先進国の水道や電気のように使えるようになると説明されています。
今回登壇されたGuruさんによると、すでに膨大な決済データをもつPayPalは、AIによる「予測」に基づき「決済をさらに当たり前にする」ことができるとのことでした。
Uberの事例〜「乗って降りるだけで決済完了」
では「決済をさらに当たり前にする」ということはどういうことでしょうか?例えばタクシー配車アプリであるUberの事例が挙げられます。アメリカのUberとPayPalは連携していて、ユーザーは車に乗って降りたら決済が完了するとのことです。
日本の基準で考えると商取引を成立させるためには、クレジットカードの番号を読み取る、PayPalのアカウント情報(ID・パスワード)を入力するなどの作業が必要です。
これらは不正な取引を防止するためにユーザーが意識して行わなければならない行為で、PayPalにとっても不正管理はかなり高度な技術が必要です。しかしAIや機械学習の進化に伴い、アナログな不正感知のシステムはやがて不要になります。
事業者はより本業に注力できるようになる
今回のセミナーで参加者にとってもっとも重要なことは、PayPalのテクノロジー&エンジニアリング責任者の方が「決済はさらに当たり前になる」とおっしゃっていたことでしょう。「決済がさらに当たり前になる」ことで事業者は決済という作業をもっとPayPalに任せることになり、より本業に注力できるようになります。
より商売の本質に迫ることができるようになる
かつて会社の経理担当者は、必ず帳簿に書き込まれている加減乗除の計算値が正しいかどうか、検算をしなければなりませんでした。ところがエクセルの登場によって、加減乗除の計算や検算に時間がとられることはなくなり、正しい計算によって出された数値の意味を考える時間が生まれました。
PayPalがAIや機械学習を活用して、決済をさらに当たり前にするということは、事業者にとって商売の本質を考える余裕が生まれることを意味します。