池上彰先生の「お金で世界が見えてくる!(ちくま新書) 」で考察する仮想通貨のこれから

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1944年に決めたブレトン・ウッズ体制(金ドル本位の固定相場制度)から、1971年のニクソン・ショック(ドルと金兌換の停止)、1973年に変動相場制度へ移行した経緯までの説明がめちゃくちゃ分かりやすかっです。さすがは池上先生!

目次

通貨は「共同幻想」で成り立つ

この本は仮想通貨が自分たちの生活に「共同幻想」をもたらしてくれるかどうか、示唆に富む本であると思います。そもそも「お金(通貨)」というのは、使っている人たちが「価値がある」と思っているからこそ、どんなものでも交換できるものです。

冒頭で「ブレトン・ウッズ体制 → ニクソンショック → 変動相場制度」として、現在のドルを中心とする法定通貨の成り立ちをさらっと説明しました。それ以前はイギリスのポンドが世界最強の通貨でした(金ポンド本位制度)。

ドルが世界最強の法定通貨となった経緯

ドルがイギリスのポンドに取ってかわって基軸通貨の地位を築くことができたのは、第一次、第二次世界大戦を通じて国土が荒廃したイギリスから、戦火を全く浴びなかったアメリカに信用の裏付けとなる金(ゴールド)が流れ続けたという背景があります。

翻って現在の仮想通貨を見ていると、それ自体が法定通貨の枠組みの中でどれが「戦国乱世」の様相を呈しています。仮にどれかの仮想通貨が競争を勝ち抜いたとしても、その前には世界最強の法定通貨であるドルが立ちはだかっています。

ドルは約60年(1910年代から1970年代ぐらいまで)の歳月と大量の出血を伴って現在の地位を築きました。

仮想通貨はドルを超えられるか?

いつの日か仮想通貨が法定通貨よりも強い「共同幻想」を抱かれる日がくるかもしれません。ただドルがポンドから「世界最強の共同幻想」を抱かれるためには、70年の歳月と大量の出血を要しました。

仮想通貨がドルよりも強い共同幻想を抱かれとしても、ドルと世界大戦を2回やるぐらいの強い摩擦を生み出すことは間違いないと思います。

仮想通貨は「財産的価値」

ミクロ経済学の観点からすると、通貨には次の3つの要素が求められます。

  • 価値の保蔵
  • 価値の尺度
  • 価値の交換

一方で最近のビットコインは価値の変動(ボラティリティ)がとんでもないことになっているようです。

個人的には仮想通貨は価値そのものではなく、当面の間、財産的価値(株式・金など換金性の高い金融商品)の地位に止まると考えています。

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