徒然なるままに日ぐらし硯に向かいて心にうつりゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば怪しうこそ物狂おしけれ(現代語訳:なんとなく一日中、硯に向かって心に浮かんだいろいろなことをとりとめもなく書き始めたら、まるで何かに憑かれたように筆が止まらない)
徒然草のような心境になってきたので、兼好法師を見習って2月24日(土)に行ったPayPalUserGroup(PPUG) 大阪 #3 – 越境EC・国内ECの始めかた –の雑感をつらつらと書き連ねていきます。管理人をしているので運営に関する感想もありますが、一参加者としてセッションを聞いた内容の方が印象に残ったのでその感想です。
フランスでは「卸売業」がない
トップバッターとして登壇されたThomas Bertrandさんのセッションが終わった後に、自分が一参加者として質問をしました。
【質問1】 自分:「フランスに卸売業という業態は存在しますか?」 Thomasさん:「ありません。日本のように製造業と小売業の間に卸売業が入るのはかなり珍しい商習慣だと思います」
自分は過去に百貨店に勤めていた経験があります。自分が物を売っていたころ(2000年前後)は、Amazonもほとんど知られていなかった時代ですが、すでに最終消費者(お客様)は、こちら側より店に並んでいる商品についてかなり詳しい状況でした。
また百貨店のバイヤーも販売担当者も何がどこにあるか、よく分かっています。そのせいか「卸売業とは倉庫業のことを指すのか」と個人的に揶揄していました。
卸売業の役割とは商品を小売業に商品を卸すとともに商品に関する情報を提供することです。ですが20世紀末の時点でモノは飽和していて、小売業界ではすでに情報源として用をなさない「卸」は不要という声が出ていました。
日本の卸売業は不要か?
21世紀になって日本の卸売業がまったく不要になったかというと、Thomasさんのお話を聞いているとどうもそうではないようです。確かに日本人同士の商売だと情報の非対称性が少なくなり、卸売業の存在が不要になりつつあります。
ですが日本と海外の商売になると様子が異なります。依然として海外では日本の消費財に関する情報が不足しているようで、日本ならではのモノやサービスについては需要が多いそうです。
「何が売れるか」よりも「何を売りたいか」
では具体的にどんなものであれば売れるのか?これからECを始めたいと思っている方にとって最も関心があることだと思います。そこでこんな質問をしました。
【質問2】 自分:「これから越境ECを始める人にとっておすすめする商材は何でしょうか?」 Thomasさん:「分かりません。その人(売り手)にとって最も関心があるモノやサービスが売れると思います」
Thomasさんの答えは商売をする上で非常に本質をついた答えだと思います。人間は自分にとって関心があることや興味があることは、自発的に情報を集めようとします。集めていくうちにやがて自分自身がメディアとなって、広く情報を発信することができるようになります。
今のご時世「海外に向けて情報を発信する」という行為は、もはや珍しいことでも難しいことでもありません。Twitter・Facebook・ブログなどを使って低コストで誰でも情報発信することができます。日本のローカルストーリーを語れるモノやサービスこそが売れるのではないでしょうか。
越境ECとは情報のオマケとしモノやサービスをつけて送る行為だと考えれば、日本の卸売業という業態は逆に従来から持っている強みを発することができると考えられます。
これからの卸売業の話をしよう
自分は「WordPress + WooCommerce」というネタをかけて、テックよりなECツールを披露させていただきました。
ただ個人的な感想としては、テックなことにあまり興味がない方がよりビジネスに特化したいのであれば、Shopifyさんの方が使い勝手が良いと思います。
もっともShopifyさんにはWordPressをはじめとしたCMSに販売ボタンを簡単に埋め込む機能があります。卸売業の方が「情報発信 + モノ」で越境ECを本格的に行いたい場合は、上記で紹介したスライドは何かと参考になると思います。
ぜひ、この記事がWebサイト担当者だけでなく、卸売業者の方にも届けることができれば幸いです。