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NHK大河ドラマ 「西郷どん 第18回 流人 菊池源吾 」感想 ~「奄美大島から見る日本文化と江戸時代の商品経済」 #西郷どん #せごどん

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あらら、舞台裏の吉之助どん(鈴木亮平さん)と月照はん(尾上菊之助さん)のコンビは、本編と比べてずいぶん雰囲気が違いますね〜。「第17回 西郷入水」のときはお互いに抱き合って、冷たい錦江湾にふーーーと身を投じたはずですが。お二人は筋骨隆々の腕を取り合っていますので、そのままリポビタンDのCMにファイト一発で出演できそうです。

奄美大島から見る日本文化と江戸時代の商品経済

で、吉之助さんが流された奄美大島ですが、歴史オタクとしてNHKの時代考証が大変興味深かったです。

「シマンチュ」と「ヤマトンチュ」

沖縄を舞台としたドラマを見ると、沖縄本島・周辺諸島の人と本土の人を区別するために「シマンチュ」と「ヤマトンチュ」という言葉が使われていることは知っていました。どうやら江戸時代の奄美大島は琉球の影響が強かったようです。在地の人は自分たちのことは「シマンチュ」として本土の人間と区別していたようですね、初めて知りました。

また「龍佐民(柄本明さん)」、「とぅま(二階堂ふみさん)」という名前も、「ヤマトンチュ」の自分としては随分珍しい名前のような響きがします。

奄美大島の年貢 黒砂糖について

当時の奄美大島では作物が作れる土地は、すべて強制的にサトウキビ畑にされていたようですね。年貢として納めるサトウキビの量も、他の商品と交換するための交換レートも島民にとって非常に苛酷であったようです。蘭癖のお殿様が小銃や大砲を作ったり軍艦を建造するための原資として、サトウキビ畑で獲れる黒砂糖が活用されていたのでしょう。

一視聴者としてこれらのシーンを見ていると、江戸時代後期の商品経済がどのような感じで回っていたのか分かったような気がします。

江戸時代は慢性的に「米価安の諸色高」

徳川家康が幕府を始めたころと比べて、幕末期の生活水準は日本全体として相当上がっていたと考えられます(260年の間に日本の人口は3倍以上に増加しているので)。

時代を経るに連れて農業技術が向上し、江戸・京・大坂の大都市において米は決して珍しい食べ物ではなくなっていたと思います。米の価格は下がり、いわゆる米価安諸色高の現象が慢性化していたのでしょう(諸色とは米以外の物価のことを指す)。

薩摩では黒砂糖が商品作物

諸藩は家の格式こそ米の石高で表していましたが、こぞって付加価値の高い商品作物を作り出すようになります。例えば出羽の紅花、阿波の藍などが有名な例です。その一例として薩摩では黒砂糖を専売制にしていたのでしょう。

海岸に落ちたわずかな黒砂糖を舐めたかどで、母子が島役人から拷問を受けそうになったシーンがあります。あのシーンは蘭癖のお殿様が湯水のごとく使うために年貢を搾り取るためだけでなく、琉球の影響が強い奄美大島でも、すでに江戸時代の商品経済に組み込まれていたことを象徴するシーンであったとも解釈できます。

気合の入った時代考証に次回も期待

「西郷どん」のお話からは少し離れてしまいました。ただ、丁寧な時代考証をした上で、スタッフ出演者全員を奄美大島に連れて行って大規模ロケを敢行するNHKの演出の徹底ぶりには頭が下がります。番組を見ていると次から次へと当時の時代背景について想いが巡ります。

次回は流人となった吉之助(菊池源吾)が、さっそくとぅまに結婚の告白をするようです。引き続き「第19回 愛加那」にも期待です