NHKドラマトピックスの「おちょやん」ロケレポートのブログ記事を読んでいると、「おちょやん」の主人公である竹井千代(杉咲花さん)は、大阪・道頓堀の「岡安」という芝居茶屋で奉公しているという設定になっています。
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芝居茶屋「岡安」は実際に存在したのか
「芝居茶屋」という施設については前回の記事で紹介しました。では「岡安」という茶屋は果たして本当に存在したのでしょうか?
朝ドラ「おちょやん」に関する公式情報はWebサイトとTwitterアカウント(@asadora_bk_nhk)で確認することができますが、個人的に確認した限り、道頓堀に存在した特定の芝居茶屋をモデルにしたという言及は見つけられませんでした(2020年11月10日火曜日現在)。
「岡安」のモデルは岡嶋「」と「近安」か
ただし竹井千代のモデルとなった浪花千栄子さんの著作「水のように」を読んでいると、彼女が幼少のころに仕出料理屋に奉公に出されていた時代を思い出して、このように述べられています。
つまり、浜側に、全盛時には四、五十軒も軒をつらねていたと申すのが芝居茶屋で、私が仕出し料理屋へ奉公に出ましたころにも、ざっと思い出しても、芝亀、三亀、堺重、近安、大義、兵忠、大佐、大吉、丸市、大弥、岡嶋、稲照、松川等が、道頓堀なればこその情ちょをただよわせておりました。
上記は浪花千栄子. 水のように (Japanese Edition) (Kindle の位置No.395-400). Kindle 版. からの引用です。これらの中から「岡嶋」と「近安」が「岡安」という名前に近そうですね。
ひょっとすると「おちょやん」の「岡安」はこれらの「岡嶋」と「近安」をより強く意識してモデルにしているかもしれません。
NHK朝ドラや大河ドラマをNHKが放送する歴史ドラマの時代考証は、非常に力が入っていると思います。ドラマに登場する「岡安」が「近安」と「岡嶋」を忠実に再現していることを期待しましょう。