おしの(国仲涼子さん)は殺害する相手ごとに偽名を使います。岸沢蝶太夫(国本武春さん)のときは、おりう。海野得石(隆大介さん)のときは、おみの。香屋清一(及川光博さん)のときは、お倫。丸梅屋源次郎(江守徹さん)のときは、およね。
五瓣の椿 おしの(国仲涼子さん)
五瓣の椿の主人公。江戸・薬種問屋むさし屋の一人娘。裕福な商家の娘として何不自由なく暮らしていたが、養父・喜兵衛が臨終する際に、自分はおそのが丸梅屋源次郎と不義密通(不倫)したことによって出来た子であることを知る。
それ以来、自分は死んだこととして母親とその不義密通をした男たちを殺そうと計画・実行する。殺害の相手ごとに偽名(おりう・おみの・お倫・およね)を使い分け、やがて本懐を遂げる。
五瓣の椿 喜兵衛(奥田瑛二さん)
日本橋本石町の薬種問屋むさし屋の主人。おしのの育ての父親。婿養子となって以来、必死で商売に励み、店の財産を先代以上の規模にした他に、新しく油問屋の店も開いた上で400両もの個人財産を築く。
仕事一筋で堅物な性格であったため、遊び人気質のおそのと反りが合わず別居。やがて労咳(肺結核)にかかり、死の間際におしのに対し、自分は実の父親でないことを告白する。
五瓣の椿 おその(秋吉久美子さん)
江戸・薬種問屋むさし屋・喜兵衛の女房。おしの実の母親。元来、浮気性であるため、喜兵衛と反りが合わず、亀戸の寮に別居。そこで多くの男性と浮気を繰り返す。
喜兵衛が死んでも意識を失くすまで泥酔し、愛想をつかしたおしのに寮を放火され、焼死させられる。
五瓣の椿 青木千之助(阿部寛さん)
江戸町奉行所の与力。亀戸の寮で発生した放火事件で死亡したはずのおしのが実は生きていることを見抜く。おしのがお倫と偽って、香屋清一を殺そうとすることを予想する。
最後はおしのから罪を自白する手紙を受け取るが、すんでのところでおしのが自害(自殺)しまい、ついに捕えることができなかった。
五瓣の椿 丸梅屋源次郎(江守徹さん)
日本橋よろず町・袋物問屋「丸梅」の主人で、おしのの実の父親。おそのと不義密通をした仲。おしのの殺害リストに入れられていたが、結局はおしのに殺害されなかった。その代わり、死んだおしのにすべての真実を世間に明かされることで、死ぬことよりもひどい苦痛を味わうことになる。
五瓣の椿 岸沢蝶太夫(国本武春さん)
常磐津派(浄瑠璃の一派)の三味線方。亀戸の寮にいるおそののところに出入りするうちにねんごろとなる。浄瑠璃の三味線方の先輩を闇討ちして、自分の地位を確保したことがおしのに知られる。
五瓣の椿 海野得石(隆大介さん)
もぐりの産婦人科医。医師免許を持たないばかりか、産科医として禁断の治療法に手を染めて、おそのに近づく。医師が副業を営むことは禁止されているにもかかわらず、料理茶屋と貸金業も開業している。
五瓣の椿 香屋清一(及川光博さん)
札差の道楽息子。女と見れば、女中だろうが下女だろうが、誰と構うことなく手を出してしまう。そのため父親から勘当されている。周囲から「しみったれ」と呼ばれるぐらいのケチ。
五瓣の椿 菱川国宣(竹中直人さん)
浮世絵師。
五瓣の椿 中村菊太郎
歌舞伎・中村座の子役。おそのの愛人の1人。おそのが泥酔して寝ていた時に一緒に寝ていたため焼死する。奉行所は当初、菊太郎の骨をおしのの骨であると考えていた。
五瓣の椿 徳次郎(堺雅人さん)
「むさし屋」の手代。おしのの殺害計画を知る人物の1人。おしのが犯行に及ぶ以前に計画を知らされており、資金面からおしのの手伝いをする。
五瓣の椿 おまさ
おしの身辺を世話する女中。ただしおしのから犯行計画については知らされていない。おしのが奉行所に捜査の手が回っていることに勘づくと、おまさは大金を渡され、暇を出される(解雇される)。
五瓣の椿 桝屋佐吉
芝居茶屋「桝屋」の案内係。おそのが誰と不義密通を交わしていたかを知っており、おしのにとっては情報提供者。
五瓣の椿 島田東蔵(屋号・沢田屋)
歌舞伎の女形。おしのが男性をたらし込む方法や仕草を東蔵から学ぶ。