広重ぶるう:物語のあらすじと昌吉の死
「広重ぶるう」で歌川広重(阿部サダヲ)の一番弟子・昌吉(まさきち)(川原瑛都さん・二宮慶多さん)は10代のうちに亡くなります。死因は労咳で、現代で言うところの「結核」です。
10才のころに弟子入りした昌吉は亡くなる頃までには、広重の「重」の一字を取って「重昌(しげまさ)」と言う画号を与えられていました。また広重がヒットさせた「東海道五十三次」の出発点である「日本橋」の変わり図を描く時には昌吉が手を入れています。
さらに弟子の中でもっとも師匠の画風を理解していたことから、広重はゆくゆくは「二代目広重」を襲名させようとするほど期待をかけていました。
昌吉の死がもたらす影響
昌吉が労咳であることが発覚したとき、岩戸屋喜三郎(渡辺いっけいさん)を通じて、広重は出羽国・天童藩(織田家)から絵(肉筆画)200枚の注文を受けていました。このとき広重は昌吉に、肉筆画の工程のうち下絵の大部分を任せることにします。
天童藩の仕事の一部を任せたことは昌吉の命が長くないことを悟っての広重なりの配慮ですが、このとき昌吉は鷹が大川と向島を見下ろす下絵を広重に提出します。
掛幅にするには縦に長い構図ですが、広重はこの構図に感心します。なぜなら縦に紙面を使えば、左右に広がる風景だけではなく、視線が上下することで画に奥行きも出るからです。
広重の人生と絵師としての成長
安政の大地震の後、被災した江戸の町が華やかだったころに蘇るよう広重は「名所江戸百景」に取り組みます。このとき江戸百景の視点は様々で、人が立ったときに見える景色もあれば、下から眺める景色もあり、上から注ぐ視点もありました。こういった風景の捉え方は近くの物を大写しにして、遠くを極端に小さくすることで遠近を大胆に表現することに繋がります。
こういった視点は天童藩からの依頼を受けて、昌吉が下絵を描いた竪絵(たてえ)の発想に基づいています。
主要キャストと子役の紹介
広重役の俳優について
歌川広重(安藤重右衛門)役は阿部サダヲさんです。NHKでは放送90年ドラマ『経世済民の男・小林一三』、土曜ドラマ『空白を満たしなさい』、大河ドラマ『平清盛』『おんな城主 直虎』など。大河ドラマ『いだてん』で第二部の主人公・田畑政治役を熱演。テレビ70年記念ドラマ『大河ドラマが生まれた日』では大河ドラマ第1作のプロデューサー、楠田欽治を演じる。
昌吉役を演じた子役
10才の昌吉役を演じたのは川原瑛都さん(2013年生まれ)です。NHKでは朝ドラ「とと姉ちゃん」、教育テレビでは「にほんごであそぼ」に出演経験があります。
少年期の昌吉役を演じたのは二宮慶多さん(2006年生まれ)です。NHKでは「赤ひげ」、「あなたのそばで明日が笑う」・「ひきこもり先生」などに出演経験があります。