NHK朝ドラ「ブギウギ」ヒロイン・花田鈴子(福来スズ子)の育ての親は、花田梅吉・ツヤ夫妻です。生みの親は治郎丸菊三郎・西野キヌです。
花田鈴子が養子であるという設定は実話に基づいています。花田鈴子のモデルとなった笠置シヅ子さんの場合、育ての親は亀井音吉・うめ夫妻で、生みの親は住友菊三郎と鳴戸(鳴門)いとです。
亀井うめの養子・亀井ミツエとして迎えられた笠置シヅ子さん
笠置シヅ子さんは1914年に香川県大川郡相生村に住友菊三郎と鳴戸(鳴門)いとの間に生まれました。生後6ヶ月の間は名前すらつけられていませんでした。
というのは住友家は地元では「白塀さん」と呼ばれるほど立派なお屋敷に住む地元の名家でしたが、その跡取り息子・菊三郎は住友家の女中であるいとに、子どもを産ませてしまいました。しかもいとは産後の肥立が悪く、赤ちゃんに母乳をあげることができません。
そのころ相生村の隣にある、引田村にお産のために中島家に戻った女性がいました。この女性こそが亀井うめでした。乳の出が悪い女性がとなり村にいると聞いた亀井うめは、その女の子を不憫に思って自分の乳を含ませました。
そして何度も母乳をあげているうちに、亀井うめは鳴戸(鳴門)いとの厳しいくらしと、女の子を住友家の子どもとして認知してもらえないことを知るようになりました。
それならばということで、すでに情がうつっていた亀井うめは、女の子を鳴戸(鳴門)いとから引き取ることを決断しました。
うめがお産が終わって香川から大阪に戻ったとき、音吉はうめが双子を産んだと勘違いしたほどです。その後、笠置シヅ子さん戸籍上、住友家から亀井家に入籍、「亀井ミツエ(のちの静子)」という名前が与えられました。
以上のお話は、笠置シヅ子さんの自叙伝「笠置シヅ子自伝 歌う自画像 私のブギウギ伝記 Kindle版」に基づくもので、笠置さんはこの話をするためにわざわざ自身の戸籍抄本を取り寄せて自身の家計を調べています。
「ブギウギ」の花田鈴子は叔母の大西タカから養子であることを聞かされる
連続テレビ小説 ブギウギ Part1 NHKドラマ・ガイド Kindle版でもこの実話をベースとしたエピソードが、第4週「ワテ、香川に行くで」と第5週「ほんまの家族」で登場します。さらに実話と若干異なることは部分は、鈴子は亀井音吉・うめの夫妻の子ではないことを叔母の大西タカから伝えられた部分です。
次郎丸菊三郎の法事で、大西タカはさすがに鈴子に本当の親がいることを黙っていることは心苦しくなり、ついに自ら鈴子に白状します。
一方、笠置シヅ子さんの場合は、住友菊三郎の法事で周りが自分に接する反応がおかしいことに気づき、自分から叔母(亀井うめの妹)に自分の出生について問いただします。
(参考文献)