NHK朝ドラ「ブギウギ」の劇中歌として福来スズ子(趣里さん)に歌われる「大空の弟」は、太平洋戦争で戦死した義弟の花田六郎に捧げた曲です。この「大空の弟」は実際に存在した曲で、「ブギウギ」の羽鳥善一(草彅剛さん)のモデルとなった服部良一さんの作曲によるものです。
ブギウギの「大空の弟」
朝ドラ「連続テレビ小説 ブギウギ Part1 NHKドラマ・ガイド Kindle版」では1941(昭和16)年に戦死した花田六郎を悼むあまり、歌が歌えなくなった福来スズ子を慮って羽鳥善一が1つの曲を作曲しました。それが「大空の弟」です。
羽鳥は、譜面台の楽譜をスズ子に渡した。
「大空の弟」と書かれたその曲を、羽鳥は奏でる。しめやかで、優しく、そしてあたたかい。今のスズ子の心に、芯から沁みる音色と、譜面に書かれた言葉。
「君が話してくれた、六郎くんへの想いを歌にしたんだ。これなら歌えるんじゃないか?」
スズ子は、楽譜を凝視したまま、何度もうなずいた。うなづくたび、こらえきれずに、涙が落ちる。
それ以来、「ブギウギ」の福来スズ子はコンサートの最初に「大空の弟」を歌うことを決めたとなっています。
笠置シヅ子さんの軍歌はたった2曲 「大空の弟」と「真珠湾攻撃」
実際の笠置シヅ子さんというと、日中戦争や太平洋戦争における日本軍の戦局が悪化するにつれ、明るい歌を心情とする笠置さんの立場は、だんだん苦しくなったそうです。国民の思想信条を取り締まろうとする当時の警察にずいぶん嫌われていました。
しかも笠置さんには特に反戦思想などを鮮明にして表立って軍部や政府に反対する意思はなかったものの、歌手の特性として軍歌などしめやかに歌う歌はどうしても歌はことはできなかったそうです。
結局、日中戦争と太平洋戦争の間を通じて、笠置シヅ子さんが歌った軍歌は「真珠湾攻撃」と「大空の弟」のたったの2曲しか歌わなかったそうです。当の笠置さんにすれば、たった2曲だけを歌ってなんとか誤魔化し通せたというのが正直なところだったようです。
「大空の弟」の歌詞について
(参考文献)