犬塚雪代さんはオードリー脚本担当の大石静さんの養母
朝ドラ「オードリー」の吉岡滝乃(大竹しのぶさん)のモデルは犬塚雪代さんという女性です。1926年から1973年にかけて東京の駿河台で「駿台荘」という旅館を経営されていました。
「オードリー」で脚本を担当されていた大石静さんは「駿台荘」の隣にある実家で生まれ、生後まもなく実家と「駿台荘」を行き来するようになったそうです。
「オードリー」ではヒロイン・佐々木美月は吉岡滝乃のことを「おかあちゃま」と呼びますが、大石静さんのエッセイ「駿台荘物語」によると大石静さんは犬塚雪代さんのことを「おばあちゃま」と呼んでいたそうです。
20才を過ぎた大石静さんは正式にこの犬塚雪代さんの養女となります(ドラマでは美月が滝乃の養子になるかどうか問題になる場面もあります)。
オードリーの養子問題
犬塚雪代さんの人生をなぞった吉岡滝乃
「駿台荘物語」の文章を引用すると、犬塚雪代さんの容姿についてこのように語られています。
生涯独身で、仕事ひとすじに生きた養母は、経済的にも、精神的にも、本当の意味で自立した女性であり、時代の先端を生きた人であったと思う。それゆえ、「昭和の女傑」というような紹介のされ方をするのだと思うが、本人は、女傑というような男まさりのイメージからとはほど遠い、女らしい色っぽい眼差しの人だった。わたしから見ても、目パッチリの、いわゆる男好きするタイプで、それはモテたらしい。作家との恋愛などもあったと聞くが、本人は「昔のことは忘れたわ」と言って、私がどんなに聞いても、絶対に過去を語らなかった。従って、その作家が誰であったかは、不明である。(「駿台荘物語」 P14より)
この引用した文章だけを読んでも犬塚雪代さんは吉岡滝乃のモデルであることがうかがうことができます。「オードリー」の吉岡滝乃は「生涯独身」とは行きませんでしたが、50才をすぎるまでは独身を貫き、ほぼ仕事ひとすじの人生でした。
犬塚雪代さんの恋愛話を元にした吉岡滝乃と麻生祐二の関係
また大石静さんによると作家との恋愛もあったらしいことになっていますが、「オードリー」のドラマの中でも吉岡滝乃の恋愛が描写されます。相手は作家の麻生祐二(沢田研二さん)で、ドラマの後半にヒロイン・美月が大部屋女優が開店休業状態のときに登場します。
「オードリー」の元ネタとなったと考えられる「駿台荘物語」を読んでいると、犬塚雪代が経営した「駿台荘」は、「オードリー」に登場する老舗旅館「椿屋」とかぶる要素(顧客層・部屋の作り・経営方針)などが多々見受けられます。