今年の夏にNHK総合テレビ(NHK広島放送局制作)でドラマが放送されるそうですね。”夕凪の街 桜の国 NHK“というキーワードでググるとそれらしき情報がいっぱい出てきました。
個人的には2人の主人公(平野皆実と石川七海)のうちどちらかは尾野真千子さんに演じてほしいと思っています。以前、出演された「火の魚」でNHK広島放送局とはご縁がありそうですし、個人的に好きな女優さんなので。NHK関係者の方がこの記事を読んでくれないかなぁ。
「オチ」のない作品
2016年12月に公開された映画「この世界の片隅に」を観て以来、すっかりこうの史代先生のファンになりました。なのでこれまでに出版された作品は「夕凪の街 桜の国」も含めてすべて読んでいます。
こうの先生は4コマ漫画の漫画家としてデビューされているせいか、お話の最後には必ず「オチ」がつきます。映画「この世界の片隅に」の原作漫画を読んでも、ほとんどのエピソードでオチがあります。
ですが「夕凪の街 桜の国」にはオチがありません。「自分はいつ死んでもおかしくない」。「子や孫の代まで放射線の影響が及ぶのか」。登場人物たちは自分が生きていること自体に苛まれ、人並みの生活をすることについて常に疑問を抱いています。
生きるとは何か、死ぬとは何か
やがて「夕凪の街」編の主人公である皆実は若くして、真っ黒い血を吐きながら亡くなります。彼女は死ぬ直前まで自分の生について悩み続けます。この悩みの描写がこの作品の読みどころとなる場面です。もし皆実の姪である七海が実在する人物であれば、折に触れて皆実と同様に自分の「生」について悩み続けるのではないでしょうか。
自分自身も死に及ぶかもしれない慢性疾患を抱えている身なので、皆実や七海が抱えている苦悩や葛藤はよく分かります。そんな苦悩や葛藤に対して「オチ」のつけようがないでしょう。正しい答えなど存在しません。
ドラマではどのような「オチ」をつけるのか?
「夕凪の街 桜の国」の紙の原作本を見ると気がつくことがですが、見た目はかなり薄い本です。でも中身は「ずっしりと重い」です。
読書をするといろいろな解釈が生まれます。「オチ」がつけられていない原作に対してドラマでは、どのような解釈をして「重さ」を感じさせてくれるのか、また「オチ」をつけるのかつけないのか今から楽しみですね。
番組のキーワードが「夏・広島・原爆」なので毎年恒例の戦争特集番組の一つのような気がします。もっとも、こうの先生は大所高所の視点ではなく、市井に住む一人の人間という視点を大切にされる漫画家さんです。それだけに「NHドラマ版 夕凪の街 桜の国」は、歴史上の大人物の視点から描いた「戦争モノドラマ」とは異なる視点で放送されることを期待しています。
尾野真千子さんは「火の魚」でも生と死に関わるヒロインを演じられていました。やっぱり平野皆実役は尾野さんが引き受けてくれないかなぁ。「NHKゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・マーベラス・ディレクター」の三津谷寛治さん、よろしくお願いします。NHKなんで。