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【読書感想】誰が日本の労働力を支えるのか?

誰が日本の労働力を支えるのか?(新しいタブで開く)でもっとも面白いところは、巻末に職業別代替可能確率の推測結果が掲載されているところです。いろいろな前提をもって結果が出ていますので、必ずしもその通りとなるとは限りません。またいつ代替されるのか、その時期についても明記されていません。

ただし「当たらずとも遠からず」という印象で、数値を眺めているといろいろな想像をめぐらすことができます。また本書の主旨からすると、だいたい2030年ごろを想定しているのでしょう。

面白かった代替確率をピックアップ

具体的には601の職業について、大分類、中分類、小分類、細分類が掲載されています。その細分類ごとに代替確率が示されています。自分が夜中寝る前に眺めていて、思わずニヤニヤしてしまった部分について、紹介していきましょう。

中分類:情報処理技術者

  • 細分類:システムエンジニア(マーケティング)→1.1%
  • 細分類:システムエンジニア(ITアーキテクト)→13.3%
  • 細分類:システムエンジニア(プロジェクトマネージャー)→9.2%
  • 細分類:システムエンジニア(ITスペシャリスト)→35.2%
  • 細分類:システムエンジニア(アプリケーションスペシャリスト)→11.4%
  • 細分類:システムエンジニア(ソフトウェア開発)→14.7%
  • 細分類:プログラマー→94.2%
  • 細分類:カスタマーエンジニア→56.0%

情報処理技術者の中で圧倒的に目立つのが、システムエンジニア(マーケティング)とプログラマーの差です。この推測結果から読み取れることは、プログラミングやサーバーなど技術的はもちろんのこと、営業・経理・人事・法務・経営企画まで一通りこなせる「なんでも屋さん」が人間の仕事として残るという意味でしょうか。

中分類:自衛隊

  • 細分類: 海上自衛官→52.5%
  • 細分類: 航空自衛官→92.3%
  • 細分類: 陸上自衛官→33.2%

現代兵器で装備された自衛官は、他の職業と同じく代替確率が高い印象を受けます。とりわけ航空自衛官の代替確率が突出していますね。人間の手が及ばない領域になれなるほど、ロボットが代わりに仕事をするということでしょうか。

中分類:その他の輸送の職業

  • 細分類: 観光バスガイド→0.4%
  • 細分類: 鉄道車掌→94.6%

両者には露骨なまでに差があります。一口に鉄道車掌といってもトロッコ列車や豪華寝台列車で親しみ溢れる観光案内をして、ついでに車掌もやるというタイプは前者に入るのでしょう。

中分類:宗教家

  • 細分類: 宗教家→4.4%

中分類としての宗教家は、細分類しても宗教家しかありません。この数字だけを見て代替確率が高いか低いかはなんとも言えないでしょう。でも自分が死ぬときは、人間ではなくペッパーくんに引導を渡されている可能性は否定できません。

中分類:「ホワイトカラー」

  • 細分類: 原価計算係→92.2%
  • 細分類: 生産現場事務員→99.3%
  • 細分類: 証券外務員→69.6%
  • 細分類: 信用金庫渉外係→75.9%
  • 細分類: 社会保険労務士→79.7%
  • 細分類: 税理士→92.5%
  • 細分類: 行政事務員(国)→97.2%
  • 細分類: 行政事務員(県市町村)→97.9%

自分の半生を振り返ってみると、良し悪しは別としてホワイトカラーになることを宿命として育ってきたと思います。「ホワイトカラー」という中分類はありませんが、それらしき職業をいくつか列挙してみました。営業関係はまだ人間に分がありそうですが、2030年ごろにはホワイトカラーの仕事は、その多くがロボットかAIに駆逐されていることが予想されます。

将来の進路に悩む10代の子弟をお持ちの親御さんには、ぜひオススメしたい一冊です。