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【読書感想】シンプルな政府:“規制”をいかにデザインするか

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最近の経済学関連の著作を読んでいると、しみじみ多いなぁと感じます。政策の費用対効果を測れるようにしなければならないと主張が。

マイケル・サンデル先生と比較

ところで少し前に「ハーバード白熱教室」というマイケル・サンデル先生の講義が話題になりましたよね。キャス・サンスティーン先生はそのマイケル・サンデル先生と考え方が異なります。というのは政治的に右派か左派か、「小さな政府」か「大きな政府」かという政治思想の違いではありません。

自分が違うと思っているのは、ミクロ経済学(行動経済学)をベースとしているか否かです。サンスティーン先生は政府の予算が小さかろうが大きかろうがとにかく「費用対効果」を追求します。サンデル先生は必ずしも「費用対効果」を明らかにしていなかったと思います(読んだのが5年くらい前だったのでうる覚えの記憶ですが)

アスレチックスのビリー・ビーンGMと比較

本書でも頻繁に登場するキーワードの一つとして、『マネー・ボール』が挙げられます。『マネー・ボール』はメジャーリーグの貧乏球団・オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMが、セイバーメトリクスと呼ばれる独自の手法を用いて、プレーオフ常連の強豪チームを作り上げていく様子を描いたノンフィクション書籍です。

『シンプルな政府』や『これからの「正義」の話をしよう』を手にとって難しいと感じた方は、先に『マネー・ボール』を読むことをおすすめします。

ビーンはスカウトからの報告として「あいつはガタイがいいバッターなんだ」とか「勝利数の多い投手だからとにかく検討してくれ」と言っても、全く相手にしません。そんな形容詞で表したり、偶然的な要素に左右される選手は、アスレチックスのGMとして視界に入ってなかったようです。

メジャーリーグでも屈指の貧乏球団が、いかに勝利数を積むためにはどんな指標が必要か徹底的に研究して、その指標に則ったチーム編成を行います。なので他球団の基準からみたら戦力外の選手でも、当時のアスレチックスでは「お買い得」となって勝利に貢献する選手が何人も登場します。

キャス・サンスティーン先生の基本思想

サンスティーン先生の基本思想はビリー・ビーンと同じで、限られた予算で最大の効果を生み出す政策は何かということを考え尽くすことです。「〇〇団体のプレッシャーが強いから」とか「なんとなく不公平だから」という理由では政府の予算をつけることはしません。本書ではその具体例や実行のコツが数多く列挙されています。

そういうと「費用対効果が明らかになりにくい政策(尊厳死の問題など)は、予算をつけない冷酷な官僚」というイメージが抱くかもしれません。ですが、自分が読んだところではそんな感じません。

200万ドルの費用を使って100万ドルの効果しか得られなかったとしても、マイナス100万ドル分の意味はちゃんと配慮している方でもあると思います。ただやたらめったにに「倫理」・「道徳」を錦の御旗にして、採算度外視のことをしている訳でもなさそうです。

少し表現は悪いかもしれませんが、サンスティーン先生は「抜け目のない人」と表現できるのかもしれません。