著作権に関するネタが飛び交うWeb界隈で、冷静な議論を始めるためにおススメな一冊です。著作物がもつ情報財としての性質(ミクロ経済学)と、著作権法の由来(大陸法と英米法)について知ることができます。
目次
情報財としての著作物は一般財と異なる
ミクロ経済学の観点で、情報財としてのDVDと、一般的な財である野菜を比較するとこんな感じなります。
[table id=1 /]
- 競合性は、1つのものを複数の人が、同時に消費することができないことを指す
- 排除可能性は、ものの供給者が、対価を支払わない人の消費を阻止できることを指す
野菜は食べてしまえばなくなりますし、対価を支払わない人に渡されることはありません。
一方、DVDは何人で使おうが減らないし、対価を支払わない人の消費を止めることはできません。結果、情報は自由流通となり、著作権法による管理は難しくなります。
著作権は法体系によって考え方が異なる
古代の哲学者である、アリストテレスとプラトンの寓話にもとづき、大陸法と英米法の、著作権に対するそれぞれの考え方を紹介してくれます。
[table id=2 /]
著作権法に関する意見が割れるのは、このへんから由来しているんですね。
著作権が難しいと思ったら本書を読めば
最近、やたらと著作権や著作権法に関するブログ記事が目に飛び込んできます。中には、一体どこから話を始めているんだろか?と思う記事もあります。
人それぞれ感じることが違うでしょうし、個別のことはケースバイケースで判断しないといけないでしょうし。
「辺境地帯」でやっているとはいえ、自分はこのブログの著作権者に当たります。いざ何かが起こったときどこから話をはじめるか、「議論の出発点」を決めるときに、本書は有効であると考えます。