【読書感想】自壊の病理 日本陸軍の組織分析

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)で有名な戸部良一先生が書かれているので読んでみました。精読する前に、パラパラ〜っと全体の構成を眺めてみました。すると日中戦争の戦略や大正時代の政党政治などにも通暁していないと、この本の内容は理解できないことを悟りました。

なので以下は「東條英機」の章だけ読んでの感想です。

目次

東條英機って知っている?

「東條英機」という名前やその顔を知っている方は多いと思います。中学校や高校で渡される日本史の教科書のうしろの方に載っていますからね。ただその人となりについては、知らない方が多いかもしれません。

かくいう東條英機という人物についてよく知りませんでした。戦争指導責任のA級戦犯として絞首刑に処されたことは知っていましたが、なぜかヒトラー(独)、スターリン(ソ)、F・ルーズベルト(米) 、チャーチル(英)のような独裁者・巨大な権力者といったイメージはいだけませんでした。

ドラマ「あの戦争は何だったのか」

そうして年月を重ねて、最近YouTubeの動画を見ていると、「あの戦争は何だったのか」という動画が流れてきました。内容はビートたけしさん扮する、東條が昭和天皇より首相を任されて、「大本営政府連絡会議」で米・英と戦争を始めるかで、政府首脳と会議を運営する様子を描くドラマです。

東條英機の性格と「日本の空気」

ドラマの中で杉山参謀総長は東條英機の性格を評して「彼は真面目すぎる」と。なるほどその通りのことが本書で書かれています。

東條は一時、内閣総理大臣・陸軍大臣・内務大臣・大本営統帥部の参謀総長と日本の権力の中枢を握っていました。ですがしかしヒトラーやスターリン、F・ルーズベルト、チャーチルのよう見えないのは、各省や統帥部の間で「調整役」をしていたに過ぎないエリート官僚だったからのように読み取れます。

実際に彼はどこか一箇所でこれらの顕職をまとめてこなしていた訳ではなく、各省にある大臣執務室に出勤して、真面目に事務をしていたそうです。

良し悪しの判断はできませんが、東條自身に何かオリジナルの世界構想があったわけではなかったのではないのでしょうか。「周りの空気を読んで戦争指導をしていた」とい感じがひしひしと伝わってきました。

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