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【読書感想】逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界

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逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界を読み終わっての感想を一言で述べると、「便利な本だな」でした。社会保障関係の統計データが最新のズラリと揃っていたりしますので。もちろんその数値は厚生労働省・財務省・防衛省・国立社会保障・人口問題研究所など、然るべきところが公開している一次データが使われています。

その精緻な数値に加えて加えて、官僚経験者(厚生労働省出身の香取照幸さん。介護保険制度の「生みの親」と言われる)に基づく知見も入ってたりします。自分は読む側の方なので気楽なもんですが、書き手の側(著者・編集者)は数字合わせが大変だったんだろうなと思わず想像を巡らしてしまいました。

一読者として1643円で「逃げられない世代」を手に入れられることは嬉しい限りですが、逆に「1643円で売ってモトを取れるのか?」と変な心配をしたりもします(笑)

国民負担率でみる「先送りされる世代」

本書の想定読者は、主に「団塊の世代」や「団塊ジュニアの世代」から「先送りされる世代」の方です。具体的には2018年の時点で言えば20代前半から40代前半の方でしょう。宇佐美さんは30代後半とおっしゃっていますが、個人的には40代前半も含まれていると思います。個人的な経験ではありますが、40代前半の方からも高率の厚生年金保険料と上がらない給料について、ブーブーと不満をよく聞こえてきますので。

そのブーイングを受ける厚生年金保険料率について言及はありませんでしたが、この本に書かれている数値は、想定読者のすべての方が頭に叩き込んでおいた方が良いでしょう。

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上記の画像は財務省が公開しているPDFファイルをもとに、自分で作った国民負担率の推移を表す折れ線グラフです。本書で書かれている数値を1つずつ紹介することはできませんが、まぁこういう感じです。

副業の目安は本業の15~25%程度

この本を手にとって読まれる方は、自分の将来に不安を覚え、少しでも明るい未来を見たいと思われる方がほとんどでしょう。その希望を叶えるためには、「自分はいつまで働けばいいの?」・「年金はいくらもらえるの?」・「足りない部分はいくらぐらいカバーすれば良いの?」という疑問についての目安が必要となります。

わたくしは自営業者として会社員の方に「副業としてブログを始めてみませんか?」と誘って、そのノウハウを教えることがあります。ただ「その副業は本業に対していくらぐらい稼げば良いのか?」と質問されると答えに窮します。「副業なので自分の生活水準と合わせて稼ぐことを目標としましょう」という感じで、今まであいまいな答えをしていましたが、この本を読んで具体的な目安を答えられるようになりました(答えは本業の15~25%ぐらい。理由はP221より)。

本書では自分たちの生活を取り巻く現状を、あらゆる統計データを駆使して説明されています。読み終えるとひょっとしたら目の前が真っ暗闇になるかもしれません。ですが、考えようによってはある種の変化が起こっているとも受け取ることができます。変化のすき間に入っていくような中小・零細事業者にとっては飛躍のきっかけとなる本かもしれません。