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【読書感想】競争社会の歩き方 – 自分の「強み」を見つけるには (中公新書) #競争社会の歩き方

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経済誌のコラムのように小ネタっぽい話が多いので、読む人によって感じるところは様々だと思います。自分は競争社会と聞いて「社会保障」とかけてみて感想を述べます。

この本のオビで書かれているように、いつぞやどこかの小学校で運動会を催したとき、徒競走で順位をつけないようにするという話を聞いたことがあります。そのときはまだ社会保障オタクではなかったので、「そんなもんか」と思って聞き流してました。

ですが自称・オタクになってから考え方はすっかり変わりました。それは単に大人が考えていることを放棄して競争を避けているだけであると。

「競争しない方が良い」と言い切るのは発想が貧困

「競争しないほうが良い」という考え方は、日本の労働市場には「敗者復活戦」や「リーグ戦昇格システム」がないからということなのではないでしょうか?高校野球「夏の甲子園」のようにトーナメント方式の一発勝負で勝ち負けが決められたら、誰でも競争することを嫌がりますよね。

その割には未だに大学受験は一発勝負の雰囲気が残っていますし、就活なる言葉が流行るように1回きりの「新卒カード」が話題になるのは、非常に矛盾しているように感じますが。その点、いまの世の中は子どもに厳しくて大人に甘い社会であると言えるかもしれませんね。

個人的にはオリンピックの敗者復活戦の3位決定戦や東都大学野球連盟(5部リーグ制)のように、いつでもやり直しができる社会の方が、過ごしやすいと考えています。

競争しないのは流動的な労働市場がないから

競争社会を避けるということは社会保障で解釈すると、失業に対する日本の社会保障制度が貧弱であることの裏返しだと思います。ガチンコで企業間競争・社内間競争をして敗れたら、その「敗者」を受け入れる制度が生活保護制度という最後のセーフティネットしかないという笑えない話になりかねません。

もちろん政府としては、多くの人が最後のセーフティネットに行き着いてもらうと困ります。その結果、福祉は個人ではなく企業に集中します(だから日本では法律的な建前として普通解雇が極端に難しい)。

稼ぐことを考えず配ることばかりに気を使う企業は提供する商品・サービスの競争力が落ちてしまいます。するとますます企業や政府は「敗者」を外に出すことができず、経済全体が悪循環に陥ります。

スウェーデン・パラドックス

逆にスウェーデンなんかは、失業に対する社会保障制度は超積極的です。「競争力のない企業は(金融機関以外)助けません。その代わり失業した労働者は政府が責任を持って生活と職業再訓練の面倒を見ます」という感じです。企業は助けないけど個人は助けるというイメージでしょうか。ちなみにそのスウェーデンの出生率は1.9ぐらいだったと思います(日本の出生率は1.44)。

本書のどこかで日本経済が失速している一因として、「企業の投資効率がヘタレだから」という言及があります。そのことを考えれば「競争のない社会」というのはいかがなものかと頭をかしげる次第であります。