不思議なことにマンガでわかる外国人との働き方を読んでも、「働き方とはこれで当たり前。驚くに値しない」と感じました。自分は日本語しか話せず、日本国内でしか働いたことがない人間なので珍しい部類に入るでしょう。
「当たり前の働き方」が本のネタになる理由
ところで「当たり前の働き方」がわざわざ本のネタになるのでしょうか?理由はいくつか挙げられていますが、もっとも重要な理由はP.157に書かれています。その箇所を一部引用させていただきます。
反対に避けるべきトピックとしては、宗教、政治、人種、金銭、身体や外見に関するトピック(容姿・身長・体重など)、プライベートな事柄(既婚者か未婚者か、恋人の有無、妊娠しているか、子供を作る予定、年齢、病気など)があります。
ちなみに同じようなことは、WordPressのコミュニティである、WordCampの行動理念でも列挙されています。
近代的な欧米の職場と前近代的な日本の職場
では本書において引用箇所のような部分が、なぜ紙幅を割かれて説明されるのでしょうか?理由は簡単で欧米の職場は「近代的」であり日本の職場が「前近代的」であるからです。
ここで言う「近代的」とは人種・性別・障害の有無・出自・年齢など、本人がどう頑張っても変えることのできない要因で待遇を差別しないことを意味します。
これだけある職場の「身分差別」
残念ながら日本の職場では「前近代的」な身分制度がまかり通っています。
- 「正社員と非正社員」
- 「総合職と一般職」
- 「新卒一括採用」
- 「定年制」
- 「本国採用・現地採用」
- 「派遣社員」
- 「同一価値同一賃金」
- 「元請けと下請け」
- 「外国人技能実習生」
日系の会社で働いたことのある人ならば、これらのキーワードについて、どれか1つぐらいは聞いたことがあるでしょう。これらのキーワードはすべて仕事をする上で身分差別を表すキーワードです。
欧米の職場で「身分差別」をしない理由
もっとも欧米の社会でも仕事上の身分差別がなかった訳ではありません。その代表的な例が日本の中学校や高校で教わるであろうアメリカの「公民権運動」でしょう。近代的な社会では、本人の努力で変えられることでしか評価されません。言い方を変えると仕事の成果だけが評価の対象となります。
本人の努力では変えられないことをもとにして仕事の評価をすると身分差別となり、「公民権運動」のような血を血で洗うような争いにつながります。
働き方2.0VS4.0も読んでみよう
OSS(オープンソースソフトウェア)界隈によく出入りをしている方であれば、「身分差別」はタブーであることをよくご存知であると思います。一方、日本の多くの職場で「身分差別」がまかり通っていることは、「マンガでわかる外国人との働き方」が出版されることからしても明らかでしょう。
この記事を読んでくださった中には、「その身分差別を解消するためにはどうすれば良いのか?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。そのヒントは、働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれるで示されています。興味のある方は「マンガでわかる外国人との働き方」と同時並行で読んでみましょう。
2019年4月23日(火)追記
タッグを忘れました:#マンガでわかる外国人との働き方
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) April 22, 2019
後日、この記事を読んでくださった著者の1人である、ロッシェル・カップさんから感想ツイートをしていただきました。やはり日系企業の職場ってグローバルスタンダードからすると、かなり特殊な環境にあるんですね。