このタイトルを見ると、銀行員の生活水準が下がる(「子どものお受験ができなくなる」・「ボーナスが●●万円下がる」)ような印象を受けます。ですが、そういうタブロイド紙や週刊誌の読者受けするような話は一切出ていません。
本書では銀行業界を取り巻く厳しい現実について、筆者の体験と客観的な数字を元に語られています。この本をおすすめしたいのは、現役の銀行員の方ではありません。むしろ銀行の独占業務である為替・融資・手形交換などの業務への参入を狙う、異業種で働いていらっしゃる方です。
金融庁のTwitterアカウントをフォローしていると…
かくいう自分も為替取引業務で何かおいしい話がこぼれてこないか、Twitterなどで金融庁や市場関係者の動向に注視しています。ふだんの官庁ツイートはあまり面白くないと感じているのですが、地道にフォローしているとたまにお宝情報をツイートしてくれます。
【お知らせ】「金融庁の1年(平成28事務年度版)」を金融庁ウェブサイトに公表しました。これは、平成28 年7月1日から平成29 年6月30日における金融庁の様々な取組みを取りまとめたものです。是非、ご覧ください。https://t.co/p98qI6kUEx
— 金融庁 (@fsa_JAPAN) November 24, 2017
このツイートで紹介されているリンクをたどっていくと、とんでもないページ数のPDFファイルに出くわします(なのでダウンロードするのに時間がかかります)。一体どこを読めば良いのか分かりませんでしたが、”ctrl + fキー”で”API”と検索するとこんな図(銀行法等の一部を改正する法律の概要②)が出てきます。
この図は本書のP179ページでも紹介されています。銀行業と言えば「独占業務」でしたが、日本の金融当局やその関係者は(小売・流通業界を除いて)異業種から銀行業や銀行関連サービス業に参入させることも視野に入れているようです。
「アマゾン銀行」や「PayPal銀行」は誕生するか?
実際にアメリカの金融当局の幹部が「アマゾン銀行」や「フェイスブックフィナンシャルグループ」を誕生させて、銀行業とそれ以外の業種の垣根を取り払おうとしています。そうなると決済サービスのPayPalが近い将来に「PayPal銀行」を立ち上げても何ら不思議はありません。
そうなると日頃、「黒い画面」やプログラミングをするためのエディタソフトとにらめっこをしている人(自分)にも、おいしいビジネスチャンスが巡ってくるかもしれません。
その時に備えて、WebエンジニアやWebデザイナーさんも既存の銀行業界を取り巻くマクロ的な状況を今のうちからこの本を読んで俯瞰しておきましょうw