「アマゾン」の日本法人が自社サイトで販売している納入業者に対し売上金の一部を「協力金」の名目で不当に支払わせていたとして、公取委は優位な地位の乱用を禁じた独占禁止法に違反している疑いがあるとして、東京・目黒区の本社に立ち入り検査。https://t.co/lNigz57lsS
— NHK@首都圏 (@nhk_shutoken) March 15, 2018
#公正取引委員会 が #アマゾン ジャパンを立ち入り検査しました。#独占禁止法 が禁じる「#優越的地位の乱用」については、かつての #ダイエー をはじめ大手小売業では再三問題になってきました。どんな行為が問題とされ、違法性の有無のポイントは何なのか――をまとめました。 https://t.co/13QlDTLTNU
— 日経 法務・税務取材チーム (@nikkei_legal) March 15, 2018
去る2018年3月15日(木)に公正取引委員会がアマゾンジャパンの本社に立ち入り検査が入ったという知らせを聞きました。自分はアマゾン(小売の方)のサービスはよく使っている消費者の1人なので、このニュースは誠に残念です。NHKの報道によると、
アマゾンジャパンは、「検査に全面的に協力します」とコメントしています。
となっていますので、公正取引委員会に対する真摯な対応について続報が待たれるところです。
アマゾンの「優越的地位」について
ところで、アマゾンジャパンに公正取引委員会の立ち入り検査が入った理由は「優越的地位の乱用」です。ではその優越的地位はどのようにして築かれたのでしょうか?アマゾンによるインターネット上の通信販売が、日本国内でも一般的になってきたのは、ここ10年ぐらいの話でしょう。
それまでに小売業者・物流業者・通信販売業者など、現在のアマゾンが展開しているサービスと競り合うようなサービスを提供している業者はいました。にもかかわらず現在では公正取引委員会の検査が入ってしまうほどに、旧来からの業者の地位が「劣後」しています。
軍隊よりも軍隊なアマゾン
その謎を具体的に解き明かしているのが本書です。アマゾンというとついAからZまでのオレンジ色の画面が連想されがちです。ですがいくらWebサイトが充実していても、注文した商品が実際に消費者に届くまでのロジスティクスに不備があれば、消費者はそっぽを向いてしまいます。
ですが、この本を読んでいる限りアマゾンはロジスティクスは「物流」というよりも「兵站」です。顧客が注文してから手元に届くまで、文字通り戦場にいるがごとく「命を懸けている」と言っても過言ではありません。以下はP.98の「アマゾンの在庫管理」から引用した文章です。
特にアマゾンでは、「地球上で最も豊富な品揃え」、そして「地球上で最もお客様を大切にできる企業であることの2つを企業理念としていますから、ウェブサイト上に掲載している商品の数が多いだけでなく、それらが在庫切れを起こさず、顧客が欲しいタイミングで購入でき、しかもできるだけ速く顧客の手元に届くことを重視しています。
アマゾンはこのミッションを完遂するために、軍規が緩んでいる下手な軍隊よりも軍隊な会社です。兵站担当の将校(物流マネージャー)と技術担当の将校(システムエンジニア)は、経営幹部(高級将校)からめちゃくちゃ脳みそを絞られているような印象を受けました。
経済・経営的視点からみるアマゾンの地位
繰り返しますが、アマゾンが「優越的地位の乱用」の疑いで当局の立ち入り検査が入ったことは誠に残念なことです。一般的な通念として法律を遵守しないことは、独占禁止法にかかわらず他の法律も弛緩させてしまう恐れがあるからです。
ただアマゾンが自然独占の地位を築くに至った経済・経営的な理由を想像することは、旧来からある日本の物流業界と比較する上で大いに興味をそそられることではないでしょうか。