多岐川幸四郎が企画した家裁広報月間とは
虎に翼「第13週 女房は掃きだめから拾え?」で、多岐川幸四郎が考えた「家裁広報月間」という大々的な広報活動は、宇田川潤四郎が企画した「家庭裁判所創設記念週間」がモデルとなっていると考えられます。
虎に翼では1949(昭和24)年に東京家庭裁判所の新しい庁舎が完成したものの、家庭裁判所の認知は今ひとつ。業を煮やした最高裁判所家庭局局長の多岐川幸四郎は、全国に「愛の裁判所(多岐川がいう家庭裁判所のこと)」が存在することを周知しようと考えます。
愛のコンサート・人気モデルのポスター・ラジオ出演
多岐川が「家裁広報月間」で具体的に企画したことは以下の通りです。
- 多岐川幸四郎と佐田寅子のラジオ出演
- 人気モデルを起用したポスター配布
- 「愛のコンサート」の開催
このうち人気モデルを起用したポスター配布と「愛のコンサート」については、「殿様判事」こと久藤頼安の驚くべき交友関係により、人気歌手の出演が決定することになります。
なお小説版「虎に翼」によると、この人気歌手の名前が特に明記されていませんが、何やらキャストも含めて何かしらのサプライズがありそうです。
宇田川潤四郎が企画した家庭裁判所創設記念週間とは
虎に翼の多岐川幸四郎が企画した「家裁広報月間」はいかにもドラマのストーリーにありそうな展開です。ですがこの展開は多岐川幸四郎のモデルとなった、初代最高裁判所家庭局局長の宇田川潤四郎が企画した「家庭裁判所創設記念週間」がモデルになっていて、ほぼ史実に基づくと言って良いでしょう。
以降の内容は「虎に翼」のネタ本とも言える「家庭裁判所物語」の内容を参考にしています
宇田川潤四郎が村岡花子のNHKラジオ番組に出演してPR
虎に翼では多岐川潤四郎と佐田寅子がラジオに出演することになっていますが、実際は宇田川潤四郎が市川四郎・最高裁家庭局第一課長らの根回しで、NHKの「婦人の時間」というラジオ番組に出演することになります。
「婦人の時間」の司会者は児童文学者・翻訳家の村岡花子(朝ドラ「花子とアン」のヒロインのモデル)です。宇田川潤四郎と村岡花子が「家庭裁判所は愛の裁判所である」と繰り返す様子はとてもユーモラスが溢れるものであったと伝えられています。
水谷八重子が母親役のポスターを10万枚作成
虎に翼では家庭裁判所を認知・普及させるためにポスターを作成することになりますが、実際にも約10万枚ものポスターが作られたそうです。そのポスターのキャッチコピーは「まァこれで安心!あなたもわたしも」で、そのモデルは洋装の水谷八重子で少年と向き合って家庭裁判所の案内文書を読んでいるという内容です。
この水谷八重子にポスターの母親役を依頼した人物は、やはり「殿様判事」と呼ばれ久藤頼安のモデルと考えられる内藤頼博・最高裁判所総務局長です。内藤頼博はドラマの久藤頼安と同じく芸能界にも顔が広かったそうです。
虎に翼の愛のコンサートは
ただし「家庭裁判所物語」を読んでいると、虎に翼で言うところの「愛のコンサート」に相当する催しがあったかどうかについては記述がありません。虎に翼の「愛のコンサート」については、ドラマがオリジナルで創作したコンサートではないでしょうか。
ただこの「愛のコンサート」が開催されたことは、佐田寅子の人生に大きく影響するようです。「愛のコンサート」に出演する「人気歌手」とは誰のことなのか気になりますし、後半の虎に翼の展開も目が見離せないところでしょう。