初代最高裁判所家庭局長 多岐川幸四郎(タッキー)が発表した家裁の五性格
虎に翼で発表された「家裁の五性格(家庭裁判所に必要な五大基本性格)」とは、初代最高裁判所家庭局長に就任した多岐川幸四郎が示した新しく始まる家庭裁判所の基本理念です。
- 家庭裁判所の独立的性格
- 家庭裁判所の民主的性格
- 家庭裁判所の科学的性格
- 家庭裁判所の教育的性格
- 家庭裁判所の社会的性格
小説版「虎に翼」によると、1949(昭和24)年1月に法曹会館のラウンジで行われた、家庭裁判所開所記念式典で、佐田寅子を始めとした関係者たちにそれぞれの性格を次のように説明しています。
1. 家庭裁判所の独立的性格
地方裁判所とは独立した個別の機関であること!
吉田 恵里香,豊田 美加. NHK連続テレビ小説 虎に翼 上 (p.275). Kindle 版.
2. 家庭裁判所の民主的性格
従来の裁判所のような冷厳な場所ではなく、親しみのある国民の裁判所であること!ここに集まるしかめっ面の役人のようじゃいかんのです!
吉田 恵里香,豊田 美加. NHK連続テレビ小説 虎に翼 上 (p.276). Kindle 版.
3. 家庭裁判所の科学的性格
米国に倣い、精神科医を常駐させるなど、事件の科学的処理に邁進すること
吉田 恵里香,豊田 美加. NHK連続テレビ小説 虎に翼 上 (p.276). Kindle 版.
4. 家庭裁判所の教育的性格
少年審判に関与する職員は、自ら真摯な教育者としての自覚を持たなければならない!
吉田 恵里香,豊田 美加. NHK連続テレビ小説 虎に翼 上 (p.276). Kindle 版.
5. 家庭裁判所の社会的性格
市区町村の役場、検察庁、警察署、そして厚生施設、子供たちにまつわる機関すべて、そのぜぇんぶと綿密な連携を保持することが絶対に必要なのです!
吉田 恵里香,豊田 美加. NHK連続テレビ小説 虎に翼 上 (p.276). Kindle 版.
宇田川潤四郎が発表した「家裁の五性格」
虎に翼の多岐川幸四郎は「家庭裁判所は人間と社会に愛を注ぐ、愛の裁判所だから家裁の五性格が全部必要」と言い切りました。いかにもドラマ受けしそうな説明ですが、多岐川幸四郎が考えたとされる「家裁の五性格」は史実に基づきます。
虎に翼の「ネタ本」とも言える「家庭裁判所物語」によると、多岐川幸四郎のモデルと考えられる宇田川潤四郎は1949(昭和24)年1月6日に「家裁の五性格」を口述し、最高裁事務官の皆川邦彦が筆で筆記したとされています。同年1月12日には最高裁判所の会同で発表され、現在もその全文が残っているそうです。
- 家庭裁判所の独立的性格
- 家庭裁判所の民主的性格
- 家庭裁判所の科学的性格
- 家庭裁判所の教育的性格
- 家庭裁判所の社会的性格
「家庭裁判所物語」では5つの性格だけでなく、宇田川潤四郎がなぜこの5つを理由に挙げたかを宇田川本人の言葉を使って説明していますが、理由も虎に翼に登場する多岐川幸四郎が挙げた内容とほぼ同じです。
虎に翼で紹介される「家裁の五性格」とは、宇田川潤四郎が発表した「家裁の五性格」を史実に基づきリアルに反映させた描写であると言っていいでしょう。
宇田川潤四郎とは 多岐川幸四郎のモデル
水行をする多岐川幸四郎 滝に打たれる宇田川潤四郎
余談ですが「虎に翼」では「家裁の五性格」の五性格が多岐川幸四郎の口から出た時の様子も詳細に反映しています。滝藤賢一さん扮する多岐川幸四郎は1月2日であるにも関わらず水行(みずぎょう)をしながら「家裁の五性格」を佐田寅子に伝えます。
この様子もいかにもドラマ受けするような描写ですが、実際の宇田川潤四郎も「家裁の五性格」を1949年1月6日に事務官の皆川邦彦の前で口述するとき前に自宅で水行を行っています。
驚くべきことに多岐川幸四郎のモデルとなった宇田川潤四郎には何か大事の前には、まず滝に行って水に打たれるということをしていたそうです。