新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点で、「ハンマーとダンス」という日本語が生まれつつあります。「ハンマーとダンス」を英語に翻訳すると、”The Hammer and The Dance”です。
感染症専門医で国立国際医療研究センターに勤務されている忽那賢志先生は”The Hammer and The Dance”を疫学的な観点で「積極的介入と持続的介入」と翻訳されています。
“hammer and dance” 英語の意味
なぜ”The Hammer and The Dance”が「積極的介入」と「持続的介入」と表現されるのでしょうか?”まずは、英語における”hammer”と”dance”について一般的な意味についてそれぞれ確認しておきましょう。
“hammer”の意味
hammerには「金づち」といった名詞だけでなく、「打ち込む」・「打ち負かす」といった動詞の意味もあります。例えばこのよう使い方が挙げられます。
Tigers hammers Giants.
野球の試合でよく使う表現ですね。「タイガースがジャイアンツを打ち負かした」、「タイガースがジャイアンツに大勝利」といった意味になります。
“dance”の意味
一方、”dance”には「ダンス」といった名詞や「踊る」という動詞の意味があります。上手にダンスをするためには体を柔軟に動かして音楽やリズムに合わせる必要がありますよね。そのため“dance”には何かと協調する・共生するというニュアンスも含まれます。
“dance”が「持続的な介入」になる理由
忽那先生の記事を読んでいると、途中で新型コロナウイルス感染症の流行曲線のピークのところでハンマーのイラストが掲載されていることに気がつきます。
このグラフとイラストを見ると、もっとも尖っている部分を「叩く」・「打ち込む」・「打ち負かす」という意味で”The Hammer”が使われ、転じて「積極的介入」という表現になると想像できます。
“Coronavirus: The Hammer and the Dance”
では”The Dance”はどうでしょうか?英語に慣れていない方にとって、グラフの表現と言葉がマッチしないかもしれませんね。
忽那先生が記事を書くに当たって参考にされている、Coronavirus: The Hammer and the Danceという記事において”The Dance”は以下のように説明されています。
If you hammer the coronavirus, within a few weeks you’ve controlled it and you’re in much better shape to address it. Now comes the longer-term effort to keep this virus contained until there’s a vaccine.
“The Dance”とはウイルスとの「共生」のこと
この説明で特に注目すべきは、”the longer-term effort to keep this virus contained until there’s a vaccine.”という部分です。日本語に翻訳すると「有効なワクチンができるまでウイルスと共生する比較的な長い期間」というぐらいの意味になるでしょう。
このことから”The Hammer and The Dance”の”Dance”には本来の「体を動かして音楽やリズムに合わせる」という意味から、「ウイルスと共生する」になり「持続的介入」という意味に転じます。
“hammer”と”dance”という単語であれば小学生でも覚えられる単語だと思います。ぜひ新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点で「ハンマーとダンス」という言葉の意味を覚えておきましょう。