個人間送金サービスを選ぶ4つのポイント〜預かり期限・銀行口座への出金・手数料・ネットワーク効果

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2018年8月2日(木)付のNIKKEI STYLEで「割り勘も現金いらず 個人間送金アプリ使ってみたら…」という記事が公開されました。「為替・送金マニア」としては、とても興味深い記事です。じっくりと拝見させていただきました。

この記事では紹介されている個人間送金サービスのメリットとして、「簡単にお金を送ることができる」という点が挙げられています。

目次

個人間送金サービス ~ 4つのポイント

ですが個人間送金サービスの利便性についてよく考えると、肝心な部分は単にスマホで電子マネー(電子的決済手段)送金ができることではないことに気がつきます。

NIKKEI STYLEの記事ではいくつかの個人間送金サービスの概要しか紹介されていませんが、ユーザーの側に立って個人間送金サービスの巧拙を考えるならば、送金された電子マネーについてさらに以下の4点を詳細に検討する必要があると考えられます。

  • 1.預かり期限があるか
  • 2.銀行口座に出金できるか
  • 3.銀行口座に出金するときの手数料はいくらか
  • 4.ネットワーク効果が働いているか

1.預かり期限があるか

日本の法律で業務として他人のお金を預かることができるのは、銀行業者と資金移動業者だけです(2018年8月3日時点)。収納代行業者は一時的にお金を預かることはできますが、あくまで「一時的」であり半永久的に預かることはできません。

したがって収納代行事業者が提供する個人間送金サービスは、お金が本来持つ役割の一つである、「価値の保蔵」としての手段に制限がかけられることになります。個人間送金のサービスを利用するときは、まず最初にサービス提供者が資金移動業者なのか、収納代行業者なのか確認する必要があります。

2.銀行口座に出金できるか

せっかく知り合いから電子マネーの送金を受けても、銀行口座に出金できないと不便ですね。水道・ガス・光熱費の各種公共料金や税金などは、いまだに銀行引き落としです。また「キャッシュレス社会が進むから」と言っても、電気が使えない非常災害時には紙幣や貨幣に頼らざるを得ません。

資金移動業者の中でも前払式支払手段第三型業(プリペードカードサービス)のように、一度ICカードやサーバなどに情報を記入したら銀行口座に電子マネーを移動できないような個人間送金サービスは使いづらいと感じられます。

個人間送金サービスの提供者が資金移動業者だったとしても、銀行口座に出金できるサービスがあるかどうか、よく確認する必要があります。

3.銀行口座に出金するときの手数料

仮に送金された電子マネーが銀行口座に出金できたとしても、出金手数料が高ければやはり使いづらいでしょう。NIKKEI STYLEの記事を読むと「出金手数料は200円が多い」と書かれています。

私ごとですが、自分は主に三菱UFJ銀行で預金口座を開設しています。もしコンビニATMで現金を引き出すためには、108円もしくは216円がかかります。金銭感覚は主観的なものですから全ての人に同意を求めることはできませんが、個人的には電子マネーを出金するときに発生する200円は高いと感じています。個人間送金サービスを使うにあたっては銀行への出金手数料もよく確認しましょう。

4.ネットワーク効果が働いているか

ネットワーク効果(ネットワーク外部性)とは、製品やサービスの価値が利用者数に依存していることを指します。簡単に言うとサービスの利用者が「〇〇さんが電子マネーを使うから私も使おう」という気持ちになれるかどうかです。古典的な例として電話やFAXが挙げられます。

  • 電子マネーを持っていても送りたい相手が使っていない
  • 交換手段として使いたいと思うお店や商品がない

こうしたネットワーク効果が働いていない場合において、「銀行への出金手数料が高い」・「プリカしやっていない」サービスはサービスの存続に関わる致命的な弱点を抱えることになります。逆にネットワーク効果が働いている個人間送金サービスは利便性の高いサービスになります。

例えばLINE Payは、ネットワーク効果を高めるために自社の電子マネーを使える店舗を増やす施策を打ち出しています。記事は2018年6月28日に公開されていますので、LINE Payは、今後ネットワーク効果がどれぐらい働くのか注目されるところです。

理想の個人間送金サービス

ここまでNIKKEI STYLEに基づき、個人間送金サービスについていろいろと批評をさせていただきました。最後に自分が考える「理想の個人間送金サービス」について挙げておきます。個人間送金サービスを提供する事業者には、以下の4つの要件を揃えていただきたいと考えています。

  • お金として「価値の保蔵」が半永久的にできる
  • 受け取った電子マネーは銀行に出金できる
  • 電子マネーの送金手数料・出金手数料は無料
  • 一般の財・サービスの購入はもちろんのこと税金や公共料金の支払いも可能

自分は使う側なので言いたいことを並べるだけです。個人間送金サービスを提供する事業者の方が見ると、「わがまま」を言われているだけかもしれませんね。ですが結局は個人間送金サービスの興亡はネットワーク効果にかかっていると考えています。個人間送金サービスの提供者はセコく手数料ビジネスに走ってほしくないというのが正直な気持ちです。

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