アマゾン、当座預金口座提供で決済方法変革か-ミレニアル世代や銀行口座、クレジットカードを持たない人に勧めたい意向https://t.co/6AkfD9M8FU pic.twitter.com/DFRQC4qk5A
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) March 27, 2018
なるほど。このアイデアを考えた人、頭いいですねー。当座預金は決済用口座なので、アマゾンが始めようとしているビジネスは普通預金業務ができる商業銀行とは必ずしもバッティングしませんね。
最近アマゾンがJPモルガン・チェースなどと組んで、何かビジネスを始めようとしていることは聞き及んでいました。いろいろと検討されているのですが、その1つがこのニュースで報じられている「アマゾン当座預金」なのでしょう。
銀行口座と決済口座の連携プレー
ブルームバーグの動画をよく注意して見ていると、米アマゾンは正確には当座預金口座ではなく、当座預金に類似した金融商品を開発するとのことです。記事を深読みするとこれからの決済サービスが成功するかどうかはクレジットカードと連携するだけではなく、いかに銀行と連携ができるかにかかっているように感じます。
銀行口座と決済サービス口座間で入出金ができる時間(24時間365日いつでも可能など)や手数料が無料または微細であることなど、決済ビジネスの帰趨を分けるのではないでしょうか?
もしも決済サービスと銀行がつながったら…
もし決済サービス事業者が銀行事業者の取り込みに成功したら(銀行事業者が決済サービス事業者に成功したら)、日本社会に対してどういったインパクトを与えるでしょうか?個人的にはが2つあると考えています。
クレジットカードを使わない層の取り込み
もっとも現実的に考えられることは、クレジットカードを使わない層がEコマース市場で消費者となることです。日本だと学生でも銀行口座をもてたりします(もっとも日米ではクレジットカードに対する考え方も異なりますが)。
ただ米アマゾンのサービスが現実化して銀行払い(銀行デビット)が普及すれば、クレジットカードの信用を得られない個人でも買い物ができるようになるでしょう。Eコマースを運営している事業者からすれば、「お客さんが増える」ということになります。
マイクロビジネスの興隆
マイクロビジネスとスモールビジネスは似たような言葉ですが、ここでいうマイクロビジネスとは、フリーランスのスモールビジネスよりもさらに零細な事業者であるというぐらいの認識です。
個人がマイクロビジネスを立ち上げても、最初から信用を得られることはほとんどないでしょう。初期投資が多いビジネスの場合、銀行借り入れに頼りたくなりますが、その信用の低さゆえに銀行からの融資は断られるケースがかなりあると思います。
ただ個人と銀行の間で、アマゾンのような個人の購買履歴を管理している事業者が存在しているとどう変化するでしょうか?アマゾンの購買履歴に基づく信用が加わるため、今まで銀行の審査では落とされていても、アマゾンの購買履歴が銀行融資の審査が加わることによって、銀行融資を受けられる可能性が広がります。
決済サービスのデビット化は「四方よし」の事業
もちろん貸出先に苦しむ銀行事業者にとっては優良な新規顧客の発掘、決済サービス事業者にとっては零細事業者が行う購買行動に基づく支払い手数料の確保などビジネスの裏側にいるプレーヤーも潤うことになります。
繰り返しますが、このスキームを考えた人は本当に頭が良いと思います。これぞまさしく零細事業者・決済サービス事業者・銀行事業者の三者にとって、「三方よし」の事業です。あ、零細事業者から物品やサービスを購入する消費者も満足するでしょうから、正確には「四方よし」のスキームですね。